
モハメド・ナジブ
ラマッラー:米仏各首脳と最近会談したパレスチナのマフムード・アッバース大統領の次なる外交的な動きに関し、22日、政治専門家らの意見が分かれた。
アッバス大統領は、7月15日にベツレヘムでジョー・バイデン米大統領と会談した後、7月20日にパリでエマニュエル・マクロン大統領と会談した。
バイデン大統領との会談の結果に対する全般的な失望で、アッバス大統領の注意はEUへと向けられた。
アッバス大統領との会談でバイデン大統領は、現在の状況はパレスチナとイスラエルの和平プロセスを再開するに相応しくないと述べたという。結果として米大統領は、イスラエルの占領に終止符を打つ計画を何も提案せず、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの入植拡大問題についても何ら立場を表明しなかった。
一方でマクロン大統領は、停滞しているパレスチナとイスラエルの和平プロセスを復活させ、ヨルダン川西岸地区の入植活動を止めるようイスラエルに働きかけるとともに、国連パレスチナ難民救済事業機関の財政危機や世界的食糧難の影響をパレスチナが乗り越えることができるよう、政治的・財政的な支援を提供すると約束した。
20日にパリで開かれた共同記者会見でアッバス大統領は、「欧州やアラブの関係諸国と連携し、我々の地域の和平努力を進めるために必要な構想や動きに着手するマクロン大統領の役割を信頼している」と述べた。
マクロン大統領は、「イスラエルとパレスチナの直接的な政治対話を再開」する必要性を力説し、「これは障害に満ちた困難な道ではあるが、和平努力を復活させるにはこの道しかない」と述べた。
しかし87歳のアッバス大統領は、パレスチナ問題を解決する切り札は米国だけが握っていると信じているとする見方が専門家らの中に依然としてあり、アッバス氏の次なる外交の動きは予測困難であることが分かった。
パレスチナの政治家ムスタファ・バルゴーシー氏はアラブニュースに対し、欧州を通した解決を模索し、他国の助けを待とうとするパレスチナの試みはうまくいかないだろうと語った。
「我々は、パレスチナ内部の分裂を終わらせ、自由選挙を実施し、民衆のレジスタンス運動の活性化戦略で団結し、パレスチナ自治政府の機能を見直し、パレスチナ解放機構の役割を強化し、パレスチナ民族の国際的な連帯運動を再建することが重要だ」とバルゴーシー氏は述べた。
EU、中国、ロシアとの関係強化は有効ではあるものの、最も重要なファクターは、「現地のパワーバランスを変え、イスラエルの占領政策に対する民衆の抵抗運動を盛り上げること」だと彼は指摘した。
パレスチナの政治評論家ガッサン・アル・カティブ氏は、米国がパレスチナ・イスラエル間の紛争を独占し続けることをパレスチナ外交は許すべきではなく、アッバス大統領がフランスや他のEU諸国にアプローチしたことは重要な一歩だと感じたという。
彼はバイデン大統領についてアラブニュースに次のように語った。「バイデンは、パレスチナ自治政府を支援すると述べた選挙戦の公約を果たしておらず、これはパレスチナのEU、ロシア、中国との外交関係に反映されるべきだ」
エルサレムにある米国大使館でパレスチナ問題を統括するジョージ・ノル氏は21日、ラマッラーでパレスチナ記者団に対し、アッバス大統領は会談で要求を列挙した長いリストをバイデン大統領に提示したと語った。ある米政府高官の話では、これに対してバイデン大統領は、「これらを実現するには奇跡を起こすキリストの力が必要になる」と返したという。
「アッバス大統領の要求は、占領の終結、入植の停止、国連パレスチナ難民救済事業機関を通したパレスチナ難民の救済など、国際的に正当性のあるルールの適用に関わることであり、米政府のこの発言は無礼だ」とアル・カティブ氏は述べた。
もし事実であれば、こうしたバイデン政権のスタンスは、パレスチナの大義に関する国際的に正当な要求を軽視していることになると彼は指摘した。
「これは、パレスチナ・イスラエル間の紛争をめぐり米国がイスラエル側についたことを意味し、パレスチナ自治政府にとっては、米国を不公正な後援者とみなし、EU、ロシア、中国といった世界的影響力を持つ支援国を求める十分な理由になる」と彼は付け加えた。
EUは、占領下のヨルダン川西岸地区に新たな複数の前哨基地を設置する入植計画の発表に対し、懸念を表明している。
21日にEUは、ヨルダン川西岸地区における違法な150の入植前哨基地はイスラエルの入植の確立や拡大につながり、パレスチナ人に対する入植者の暴力が増加する直接的な要因となり得るとの声明を出した。
入植や前哨基地は国際法に反しており、二国間解決の実現に著しい障害となると声明は付け加えている。
パレスチナ応用研究所は21日、イスラエル民政局がヨルダン川西岸地区の複数の場所における新たな3つの入植計画を発表したと述べた。これによりパレスチナ領土733.6ドゥナム(181.2エーカー)が押収されるという。
イスラエルの入植地は201平方キロメートル(占領下にあるヨルダン川西岸地区の3.6%)を占め、約70万人のイスラエル人入植者が住んでいる。