
バグダッド:4日間連続でイラクの国会議事堂を占拠しているシーア派の有力聖職者の支持者たちに対し、議事堂から退去し抗議活動を別の場所で継続するようにとの指示が2日に出された。
ムクタダ・アル・サドル師の代理人はツイートで、占拠を続ける数百人の支持者に対し、72時間以内に首都バグダッドの国会議事堂から退去するよう指示した。ツイートは抗議場所を議事堂敷地の外に移すように指示しているが、イラク政府の建物や外国大使館があるグリーンゾーン内にはとどまることを求めている。占拠は2日で4日目に入っていた。
アル・サドル師とその政党は10月の議会選挙で勝利したが、政府を形成に求められる過半数の支持を得ることはできなかった。サドル師の支持者たちは、イランの支援を受けた政治連合「調整枠組み」(Coordination Framework)がムハンマド・アル・スダニ氏を首相候補に指名した後、新政府成立への投票を阻止するため、サドル師の指示で30日に国会を襲撃した。
2日の退去指示は、事態のエスカレートを食い止めようとするアル・サドル師側の動きではあるが、抗議行動の停止にはほど遠いものだ。指示の前日には、「調整枠組み」の敵対者たちも抗議行動を起こしたため、対立するシーア派派閥の支持者間の衝突に発展するのではないかと多くの人が懸念していた。「調整枠組み」の中心メンバーの一人、カイス・アル・ハザリ氏の命令により、その抗議行動は終了している。
ツイッターではそのアル・サドル師の「(イスラム体制の)高官」、上級政治顧問とされる人物は、サラ・ムハンマド・アル・イラキと呼ばれている。彼は抗議行動の参加者に対し、要求が満たされるまでは解散しないようにとの指示を出した。アル・イラキ氏の正体は不明で、アル・サドル氏本人ではないかと疑う人も多い。
支持者たちをグリーンゾーン内の別のエリアに移動させることで、アル・サドル師は居座りによる抗議行動を長期間にわたって行う選択肢を残している。
AP