
エファレム・コッサイフィ
ニューヨーク:国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレ氏は木曜日、今年パレスチナで殺害されたり怪我を負ったりした子供の数は「受け入れがたい」ものだとして危機感を示し、すべての件を徹底的に調査するよう求めた。
先週末に起きたイスラエル軍と武装組織イスラム聖戦との間の激しい戦闘と、それに続いてイスラエルがヨルダン川西岸地区で行った法執行活動によって、子供の死傷者数は急増した。
この1週間だけで、占領地域で19人のパレスチナ人の子供が殺害され、今年に入ってからの子供の死者数は37人になった。
「紛争において子供が傷つけられることは、憂慮すべき問題です。今年に入って、これほどの数の子供たちが殺害され、重傷を負っている事実は受け入れがたいことです」と国連人権高等弁務官であるバチェレ氏は述べた。
バチェレ氏は加えて、「明らかに軍事施設ではないもの」が多数イスラエル軍の標的となっており、死者数の増加やインフラの破壊につながっていると指摘している。
「国際人道法は、付随して民間人の死傷者が出る、あるいは非軍事施設に損害を与えることが予想され、この被害が見込まれている具体的で直接的な軍事上の利益に見合わない場合、攻撃を行うことを明確に禁じています。このような攻撃は、やめさせなくてはなりません」とバチェレ氏は言う。
さらにバチェレ氏は、パレスチナの武装勢力によっても国際人道法が破られていることを強調した。これらの勢力は「何百ものロケットや迫撃砲で無差別攻撃を行い、ガザだけでなくイスラエルでも民間人の死傷者や物的被害を出しています」
イスラエル当局によると、今回の衝突で70人のイスラエル人が負傷した。
ガザで起きた最近の軍事衝突は停戦合意によって収まっているものの、ヨルダン川西岸地区では極度の緊張状態が続く。8月9日にはイスラエル軍の銃撃により、4人のパレスチナ人が犠牲になり、90人が負傷した。
犠牲者の中には、16歳の少年も含まれる。この少年はナブルスでイスラエル軍が武装勢力の逮捕のために行った急襲の間に射殺された。また別の16歳の少年は、数人のパレスチナ人が石や花火をイスラエル兵に投げつけたことから、ヘブロンの検問所zで射殺された。
「2022年になって、イスラエル当局が東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区全体で、法執行活動のために実弾による射撃を広範に行っていることが、パレスチナ人の死者数の憂慮すべき増加につながっています」とバチェレ氏は指摘する。
今年に入って現在までの間に、殺害されたパレスチナ人の数は74人に上る。その内の多くは、占領地域における国連人権高等弁務官事務所のパレスチナ事務所が国際人道法の違反だとしている方法で、イスラエル当局が殺傷力の高い武器を用いた結果生じた犠牲である。
バチェレ氏は「迅速で独立、徹底的かつ公平にして透明な調査」がすべての死傷者について行われるよう求めた。
「パレスチナ占領地域では、ガザ地区での戦争行為の全当事者による国際人道法違反にせよ、不必要で過度な武力行使などの、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区でのイスラエルによる国際人権法と占領法違反にせよ、ほとんど完全な説明責任の欠如と呼べる状況が続いています」と氏は述べた。
「長年にわたる違反行為とともに、この何をしても処罰されないという雰囲気が、暴力の連鎖とその繰り返しを加速させているのです」
「パレスチナ情勢はきわめて不安定です。さらなる流血を防ぐためには、銃器の使用は国際的基準に厳密に則って行うよう努めるなど、最大限の自制が必要です」