
ベイルート:シリアのクルド人自治区は、悪名高いアルホル・キャンプに収容されていたダーイシュのメンバーの親族600人以上をイラクに移送した。シリア人権監視団が12日、発表した。
同キャンプで今年、こうした措置が行われるのは4回目。同キャンプは、イラクとの国境から10キロ足らずのところにある。
最近行われた移送では、「ダーイシュのメンバーの親族約620人がアルホルから退去した。同キャンプの運営者とイラク政府との間で調整が行われた」と、シリア人権監視団は声明で発表した。
150世帯に属する男女や子供は11日、同キャンプから退去した、とクルド自治政府当局者はAFPに語った。
外国人の過激派数千人が戦闘員としてダーイシュに加わった。その多くは妻子を連れて、ダーイシュが2014年にイラクとシリアにまたがる地域で樹立を宣言した「カリフ制国家」で暮らしている。
クルド主導の軍隊は、米主導の連合軍の支援を受け、2019年にシリアの最後の領土からダーイシュを駆逐した。
クルド当局は各国に対し、過密状態の避難民キャンプにいる自国民を帰還させるよう繰り返し呼び掛けている。アルホル・キャンプはシリア最大の避難民キャンプだ。
アルホルでは1年半の間に、多くの女性を含む100人以上が殺害された、と国連は6月に発表し、キャンプの住人の帰還を求めている。
しかし各国はたいてい、安全保障上の脅威や国内の政治的反発を恐れて、限定的な受け入れしか行っていない。
最初のアルホルからのイラク人世帯の本国送還は、約300人を対象に、昨年5月に行われた。
イラクは今年、アルホルから合計500世帯を帰還させるはずだ、とイラク国営通信は10日、発表した。
帰還した家族の他に、イラク政府は今週、シリア民主軍に拘束されたイラク人ダーイッシュ戦闘員や幹部約50人を受け入れた、とシリア人権監視団は発表した。
シリア民主軍は、米主導の連合軍の支援を受け、シリアにおけるダーイシュとの戦いの先頭に立った組織だ。
6月上旬、イラクは、クルド人部隊に拘束された別のイラク人ダーイッシュ戦闘員50人を帰還させた。彼らは、シリアのクルド人収容所に収容されていた3500人のイラク人のうちの50人だった、と軍高官は当時話していた。
4月、イラクの治安当局高官は、アルホル・キャンプは安全保障上の脅威であり、解体されるべきだと述べた。
同キャンプには約5万5千人が収容されている、と国連は6月に発表した。
AFP