
アラブニュース
ジェッダ:月曜日、イラクは内戦寸前に至った。有力なシーア派聖職者ムクタダ・サドル師が政治からの引退を表明したのを受け、同師の支持者らがバグダッドの政府本部に突入する中、イランが支援する民兵組織との衝突が発生し、少なくとも15人の支持者が死亡したのだ。
国連イラク派遣団は、「国家の存続自体が危機に瀕している」と警告し、全当事者に「止められない連鎖につながりかねない行動を慎む」よう求めた。米国も平穏を取り戻すよう呼びかけた。
今回の暴力の激化は、国家機関に対する広範な影響力を持ち、数千人から成る準軍事組織を支配しているアル・サドル師が、自身の政治事務所を閉鎖すると表明したことがきっかけだった。「政治に口を挟まないことに決めた。したがって今、完全な引退を発表する」と同師は述べた。
同師の支持者らはこれを受け、軍の外出禁止令を無視して、バグダッドの厳重に警備されたグリーンゾーンにある政府本部(以前はサダム・フセインの宮殿だった建物)に突入した。デモ隊は会議室の肘掛椅子でくつろぎ、中にはイラクの国旗を振りながら自撮りする者や庭のプールで涼む者もいた。
対立する親イランのシーア派陣営「調整枠組み」のメンバーがサドル派に向け発砲した。両集団は路上で互いに向け投石した。
騒乱はその後、国内の他の地域にも拡大した。南部の都市ナシリヤやヒラーではサドル派が政府庁舎に突入し、ウンム・サクル港の入り口を封鎖した。
サドル師はその後、全当事者による暴力行使に抗議してハンガーストライキを開始すると表明した。
イラクは、昨年10月の議会選挙以来シーア派諸派閥が連立政権樹立をめぐって合意に至っておらず、政治的行き詰まりの泥沼にはまっている。アル・サドル師の陣営は選挙で大勝したものの、敗北したイランが支援する諸派が結果の受け入れを拒否し政権樹立を妨害した。
連立政権を樹立できなかったため、6月にはサドル派の全議員が辞職した。
アル・サドル師は早期の解散総選挙を要求しており、2003年の米国による侵攻以降に政権の座にいた政治家は政府に入るべきではないと主張している。
欧州外交評議会のハムゼ・ハダドゥム氏は、アル・サドル師の戦略が「よく分からない」と言う。
「それが何を意味するにしても、サドル派のやり方の常として、撤回されることが予想される」
「より恐ろしい第ニの可能性は、同師が支持者らに好きなようにしろとゴーサインを出すことだ」
サドル師の支持者らは、7月30日にイラク国会の中に突入した後、要求を通すためにその外で何週間も座り込みを続けている。
彼らは、「調整枠組み」が指名した首相候補が受け入れがたいと怒りの声を上げたのだ。
調整枠組み」は新たな選挙が行われる前に新首相を任命したいと考えている。
ムスタファ・アル・カディミ暫定首相は今月、各党の指導者を集めて危機についての協議を行ったが、サドル派はボイコットした。
イラク国民の多くは、政治家の内輪もめは自分たちの日々の苦労とは何の関係もないと口にする。
イラクは数十年にわたる紛争や汚職の蔓延で荒廃している。
石油資源は豊富だが、インフラの崩壊、失業、停電、公共サービスの機能不全などに悩まされている同国は現在、国土の大部分を襲っている干ばつによる水不足にも直面している。