
エルサレム:イスラエル最悪の民間災害となった事故に関する国の調査委員会は30日、ベンヤミン・ネタニヤフ元首相と警察当局高官に対し、45人が死亡したこの事故の責任を共有する可能性があると警告を発した。
事故調査委員会は、昨年4月のイスラエル北部の宗教祭で、数千人の来場者が狭い通路に殺到し、致命的な大混雑を引き起こした事故の状況について調査した。
メロン山の斜面で行われたこの祝祭では、死者45人のほか、少なくとも100人が負傷した。当時、会場は推定10万人の参拝者で埋め尽くされていた。
イスラエルの右派野党リクード党を率いるネタニヤフ氏への書簡では、同氏が長年の安全上の懸念を「知っていたか、知るべきだった」にもかかわらず、それを正すために「首相として期待される行動をとらなかった」と述べられている。
同委員会から指名された対象者には反論する機会がある。この警告の書簡は、必ずしもその者に対して何らかの措置が取られることを意味するものではない。
警告は、11月の総選挙を2ヵ月後に控えた段階で出されたものだ。結果次第では、既にイスラエルで最も長く首相を務めたネタニヤフ氏が、6期目の首相を務める可能性が出てくる。
ネタニヤフ氏率いるリクード党は、事故で肉親を失った家族の痛みを共有すると述べたが、選挙キャンペーン中に書簡を出したヤイール・ラピード首相率いる政府に対しては、「政治的なタイミング」で発表したと非難した。
毎年開催されるこの宗教祭については、昨年の事故のずっと以前から、安全への懸念が示されていた。
この書簡では、祝祭の会場の危険性については、国家会計検査事務所が以前から指摘してきており、何度も閣議にかけられたものの、何の対策もとられなかったとしている。
同委員会は、ネタニヤフ氏や多くの元大臣、元高官だけではなく、現場の危険性を知りながら祭りを予定通りに進めたとして、警察長官のヤーコフ・シャブタイ氏もやり玉に挙げている。
ロイター