
アハトラー、トルコ:亡くなった鉱山労働者の父親が、黒海を一望できる自宅の階段に座り、親戚や隣人が哀悼の意を伝えている。
傷ついたこのトルコの村は、14日の炭鉱災害で3人の若い男性を失った。
14日のアマスラの町での炭鉱爆発で死亡した41人の鉱山労働者のうち3人は、16日に葬儀が行われた郊外の村、アハトラー出身だった。
「息子が死んでしまった。もうぼろぼろだ、すっかり打ちのめされてしまった」と、20代前半で亡くなったサバンさんの父親、ケマル・イルディリムさんは嘆きつつ語った。
「友人たちから訃報を聞いた。
14日に急いで炭坑に向かった。
息子は翌日の午前7時に運び出された、最後に残された犠牲者のうちの一人だった」とケマルさんは述べた。
この若い鉱夫の妻は、双子を妊娠している。
サバンさんは大学卒業後、2019年にトルコ国営石炭公社に就職した。
親戚が家の外に旗を吊るした。
玄関マットには靴が山積みになり、スカーフで頭を覆った女性たちは部屋に集まり、一方で男性たちは雨よけの青い天幕の下で待っていた。
近隣の村の何百人もの人々が家の外に集まり、イマームが葬儀を執り行った。
サバンさんの妻はトルコ国旗で覆われた棺を抱きしめた。
「息子ではなく、私を連れていってくれ」と悲しむ父親は言い、非常に感情が高ぶったためほとんど息ができなくなった。
当局者によると28人の鉱山労働者が負傷し、58人が爆発後に生き残ったが、予備調査の結果によると、今回の爆発は坑内爆発性ガス(メタンガスの蓄積を指す用語)が原因だった。
サバンさんは妻に「炭鉱内は10日間、ガスのにおいがしている」と話していた、と父親は述べた。
「息子は年次休暇を取るつもりだった」「あの子の夢は子供たちを育てることだった。
私は打ちのめされている」と父親は語った。
爆発で死亡した別の鉱山労働者の妹によると、その作業員もまたガスのにおいを感じていたという。
15日に行なわれたレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とこの妹との短いやり取りを、カメラが捉えていた。
エルドアン大統領は、大臣らや救助者らと共に鉱山に到着した後、近くの村の葬儀に出席した。
4人を失ったマカラチ村で、涙を流す妹がエルドアン大統領にこう話した。
「大統領、私の兄は、10日か、15日前にガス漏れがあったと言っていました。
兄は『もうすぐ爆発に巻き込まれるだろう』と言っていました。
なぜそれが見過ごされたのでしょうか。
兄は『ここで爆発に巻き込まれるだろう』と言いました……兄には分かっていました」
エルドアン大統領は、一瞬の沈黙の後、こう答えた。「お悔やみ申し上げます、アッラーが忍耐を与えてくれますように」
トルコ政府は犠牲者らを「炭鉱の殉教者」と表現している。
イルディリム家の親戚であるメヴルト・オズグンさんは、アハトラー出身の3人は「皆若い息子たち」だったと述べた。
「鉱山労働者としてはわずか3、4年しか経験がなかった」とメヴルトさんは家の外で語った。
「危険で、将来病気の原因になるが、若者たちに何ができただろうか。それが生計(を立てる)手段だった。
エルドアン大統領は15日、死亡事故を運命と結びつけて論争を巻き起こした。
「我々は運命の計画を信じる民である」と大統領は救助隊員に囲まれる中、記者団に語った。
このような事故は「いつでも起こるし、我々もそれを分かっていなければならない」
同大統領の発言は反対派の怒りを呼び起こし、イスタンブールで抗議デモを引き起こし、数人のデモ参加者は「事故ではなく虐殺だった」と述べた。
アマスラでの葬儀にも参列した野党のケマル・キリクダログル党首は、国家は国民の安全を確保する義務があると述べた。
「何世紀に我々は生きているのか。
なぜ炭鉱事故はトルコでしか起こらないのか」と党首は述べた。
トルコのエンジニア・建築家商工会議所組合を率いるエミン・コラマズ氏は、ツイッターで次のように述べた。
「必要な予防措置を取らず、検査をせず、安全な状況を作り出すことなく鉱山労働者を地下数百メートルに送るなら、それを事故と呼ぶことはできない」
AFP