• レバノンのミカティ暫定首相はシャルム・エル・シェイクで開催中の第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議（COP27）に参加する一方で、数多くの協議を重ね、同国が経済危機を克服するための支援を要請した

ナジア・ホーサリ

ベイルート：米国はレバノンに対し、シリア難民を含む同国内で最も脆弱な65万以上の人々への援助を目的とした、7200万ドルを超える緊急食糧支援を約束した。

サマンサ・パワー米国際開発庁長官は11月9日、レバノンを訪問した際に援助を発表した。

パワー長官は、レバノン国内の食糧安全保障の悪化により影響を受けている地域の農業従事者と面会した。

パワー長官は次のように述べた。「国連世界食糧計画を通じた資金提供により、レバノンの家庭に米、レンズ豆、ひよこ豆などの食料の小包を、シリア難民に地元店で使用する電子食料バウチャーをそれぞれ提供し、レバノン経済を支援します」

米ドルの為替レートは、闇市場で1ドル＝4万レバノン・ポンドに達し、前例のないインフレの恐怖の中、価格に影響を与えている。

制御できないドルの為替レートにより、国内の燃料価格が急騰している。

在レバノン米大使館によると、「ロシアとウクライナの戦争の悪影響がレバノンの食糧やガソリンの価格にまで及び、多くの人々が安心して食糧を入手できなくなり、同国の経済危機を悪化させている」という。

そして、次のように続けた。「レバノンは通常、小麦の約8割をウクライナから輸入している。レバノンの食料品価格は、2019年10月から2022年6月にかけて20倍以上に上昇している。収入源を失うと、最も脆弱な家庭は必要な食料を手に入れることができなくなる」

今回の新たな緊急食糧支援は、世界的な食糧安全危機に対処するために、バイデン米大統領が昨年9月に発表した20億ドルの米国際開発庁（USAID）による世界的救済の一部である、と大使館は述べた。

「2012年以降、米国はレバノンで最も脆弱な人々が必要とするものを確保するために、30億ドル以上の人道支援を行っている」と付け加えた。

パワー長官の訪問と並行して、カナダ外務大臣政務官ロバート・オリファント氏は、カナダは「引き続きレバノン政府に協力する」と述べた。

オリファント加外務政務官はミカティ暫定首相との協議後、「カナダはあらゆる分野でレバノンを支援しますが、レバノンと国際通貨基金（IMF）との間で最終合意に至るようにするためには、必要な改革を実施する必要があります」と述べた。

同政務官はまた、レバノンが新しい大統領を選出し、政権を樹立する必要性を強調した。

ミカティ暫定首相はシャルム・エル・シェイクで開催中のCOP27に参加する一方で、数多くの協議を重ね、レバノンが経済危機を克服するための支援を要請した

これらの協議に詳しい情報筋によると、「ミカティ暫定首相の要請に応じるためには、レバノンが早急に大統領を選出し、提供される支援に対処できる政権を樹立する必要があるという点で全員が同意した」という。

一方、寄贈される17トンの医薬品、ワクチン、医療物資を積んだエジプトの軍用機が9日、ベイルートに到着した。今回の寄贈は、シリア難民のキャンプや、レバノンの北部、南部、ベカーなどレバノンの一部の地域社会で広がるコレラの撲滅を目指して行われた。

フィラス・アビアド公衆衛生暫定大臣は3日、世界保健機関から提供された60万回分のコレラワクチンの接種を監督した。

また欧州連合（EU）は、レバノンのコレラ発生率が高い地域において、地域コミュニティの水や公衆衛生、保健衛生対策に80万ユーロ（80万3500ドル）を割り当てたと発表した。

欧州委員会のヤネス・レナルチッチ危機管理担当欧州委員は、次のように述べた。「レバノンの状況は悪化の一途をたどり、人口の約8割が困窮状態にあります。コレラの発生はこのような悪化する状況を示しており、これ以上ない最悪のタイミングで起こってしまいました」

そして次のように続けた。「EUの資金提供を通じて、人道分野の支援者が迅速に対応チームを配置し、影響を受けているコミュニティが清潔な水を使えるように援助できるようになります」