
サイード・アル・バタティ
アル・ムッカラー:国際的に承認されたイエメン政府は破綻の瀬戸際にある。フーシ派がイエメン南部の石油施設を攻撃し、全ての石油輸出が停止したからだ。イエメン政府は近い将来、政府支配地域の公務員に給与を支払えなくなるかもしれない、と政府関係者は警告している。
政府関係者はアラブニュースに「解放された州の公務員は今後数カ月、給与を受け取れないかもしれない。攻撃の結果、イエメン政府は燃料を輸入できなくなり、イエメンは深刻な燃料不足と長期の停電に見舞われる可能性がある」と話した。
「来月からイエメン政府は公務員給与を支払えないかもしれない。さらに、発電に使われる石油派生物が足りなくなると予測されている。特に危ないのはハドラマウト、アデン、シャブワだ」と、その匿名の政府関係者は話した。
先月、親イラン武装勢力フーシ派は、ハドラマウトとシャブワの石油ターミナルに2回の無人機攻撃を行った。タンカーがイエメン産原油を政府支配地域から世界市場に輸送するのを止めようとしたのだ。
フーシ派は先週、国連安保理をはじめとする世界中からの批判と国内の怒りを無視して、シャブワの商港を新たに攻撃した。石油タンカーが燃料を降ろしていたときにその攻撃は行われた。
フーシ派は、標的に正確に命中させたドローンの精度を自慢しながら、イエメン政府がフーシ派支配地域の公務員に給与を支払った場合のみ、政府支配地域の石油タンカーや石油インフラへの攻撃をやめると主張した。
大統領指導評議会のラシャド・アル・アリミ議長は14日、リヤドでEU、中国、フランス、ロシア、英国、米国の駐イエメン大使と会合した。その会合でアリミ議長は「フーシ派の攻撃によって、すでに悲惨な人道状況はさらに悪化するだろう。数千人の公務員が給与を受け取れなくなり、イエメン政府は輸入食品に資金を出せなくなり、飢餓が広がるだろう」と警告した。
以前から懸念されていた飢餓が今、初めて「最も恐ろしい形で」現実のものになろうとしている、と同氏は述べた。
イエメン政府は以前、国連が仲介したストックホルム合意や直近の停戦協定から離脱すると脅したが、今回は、攻撃を行ったフーシ派を罰するための軍事作戦の再開には踏み切らないことを決定した。その代わりに、イエメン政府は特使らに、攻撃をやめるようフーシ派に圧力を掛けるための経済政策パッケージを支援するよう求めた。
経済政策の中身は、業務をフーシ派支配地域外に移転するよう企業に圧力を掛けること、政府が管理している港を経由してフーシ派支配地域に運ばれる物資の移動を制限すること、フーシ派が支配している港との関係を断つよう外国の海運会社に求めること、フーシ派と取引している実業家をブラックリストに載せること、フーシ派と取引している銀行を決済システムSWIFTから除外することなどだ。
しかし、一部のイエメン政府関係者が懸念していることがある。それは、2018年に人道危機の悪化を懸念して、フーシ派を西部ホデイダから追い出すための軍事攻撃を中止するようイエメン政府に迫った大国や仲介国が、同じ理由でイエメン政府による今回の懲罰的措置に同意しないことだ。