
モハメッド・ナジブ
ラマッラー: 11月15日にイスラエル人3人がパレスチナ人の若者に殺害された事件で、軍とイスラエルの国内治安機関「シンベット」による警備体制に疑問符が。
また、ベンヤミン・ネタニヤフ氏が率いる次期極右政権がヨルダン川西岸のパレスチナ人を支配するためにどのような手段をとるか憶測も呼んでいる。
ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地の近くで3人のイスラエル人を殺害した10代の若者が過激派組織から英雄として讃えられた。これはイスラエルで極右連合のトップに立つネタニヤフ氏が権力の座に復帰する議員宣誓が行われる数時間前のことだった。
占領下のヨルダン川西岸とエルサレムにおけるパレスチナのレジスタンス活動の激化により、今年に入ってから29人のイスラエル人が殺害されている。エルサレムとイスラエルで19人、ヨルダン川西岸で10人という内訳だ。
イスラエルの軍事アナリストは、こうした攻撃は一時的なものではなく新たな現実であり、新政権になってもこの問題の新しい解決策は出てこないだろうと述べている。
イェディオス・アクロノート紙の軍事アナリストのヨッシー・イェフォシュア氏は、加害者がシンベットをかいくぐってしまうような個人に対する攻撃は、軍と現場の市民部隊による専門的アクションによってしか防げないと話す。
「イスラエル軍は昨年3月以来、ほとんどすべての部隊がすでに駐留しており、ヨルダン川西岸に正規軍を追加配備することはできません。これらの部隊は訓練を受けておらず、その能力は損なわれています」と同氏は続けた。
ハアレツ紙の軍事アナリスト、アモス・ハレル氏は「イスラエル軍によるパレスチナ住民に対する警察活動や、パレスチナ人の村と近隣入植地の間に絶えず摩擦があります」と話す。
イスラエル軍は水曜日未明、武力衝突の中、ナブルスでパレスチナ人を逮捕する大規模な作戦を開始した。同時に、ヨルダン川西岸地区の入植者がパレスチナ市民を攻撃・暴行し、トラックを燃やし、車に石を投げつけた。
米国は、暴力の再発に懸念を表明している。
ファタハ革命評議会のメンバーのタイシル・ナスララー氏はアラブニュースに対し、パレスチナ人の怒り、フラストレーション、希望の喪失に対する解決策がイスラエルにはない。安全保障上の解決策は例外だが、いまのところこれもうまくいっていない。
「パレスチナ人に対する安全保障や軍事的措置、集団処罰は失敗だったとイスラエル人は認めないと、同じことの繰り返しで苦しみ続けることになります」と同氏は話す。
「さらに、集団的な処罰が増えれば増えるほど個人に対する攻撃は増えることになるでしょう。なぜならパレスチナの若者が不満を募り、将来への希望を失うからです」
「イスラエル社会にこの暴力の原因を知ろうとする声や、パレスチナの人々に人権を与える政治的な道を選ぼうとする声は見当たりません」
「むしろガザを攻撃すると脅しています。なぜなら、その方がヨルダン川西岸でパレスチナの子供たちと向き合うよりも、イスラエル軍にとっては簡単だからです」
パレスチナ外務省はイスラエル政府に対し、入植者テロ組織の保護をやめ、押さえ込み、占領下のヨルダン川西岸にある組織拠点を解体するよう呼びかけた。こうすればテロ組織の資金源を枯渇させ、正当性も奪えるとパレスチナ外務省は主張している。
軍と入植者によるパレスチナ人への度重なる攻撃についてイスラエル政府には完全かつ直接的な責任があるとし、入植者による攻撃は軍の保護の下で行われていると続けた。
ハマスのスポークスマン、アブド・アル・ラティフ・アルカヌー氏は、パレスチナの人々が日々殺されているので、レジスタンス運動は拡大するだろうと述べた。
もう一人のハマス幹部、オサマ・ハムダン氏は「パレスチナの若者たちが感じているヒロイズム」とは対照的に、イスラエルの治安部隊は失敗を感じていると述べた。
一方、退任を控えるイスラエルのヤイール・ラピード首相は、占領下のヨルダン川西岸で起きたパレスチナ系アメリカ人ジャーナリスト、シリーン・アブアクラ氏の殺害に関する米司法省の調査報告を厳しく非難する姿勢を強めた。
ラピード首相は、5月にジェニンで起きたアルジャジーラ特派員(51歳)の射殺事件に関する調査にイスラエルは参加しないと宣言した。
前日のイスラエルのベニー・ガンツ国防相の発言に倣いラピード首相は、イスラエル兵は「どんなに友好的な組織であろうとFBIやいかなる外国の政府や団体の調査を受けるようなことはありません」と述べた。
しかし、パレスチナ自治政府はこのニュースを歓迎し、米国の調査に全面的に協力することを約束した。