
パリ:人権活動家は、クルド系住民が多く、過去数日間に激しい反政府デモが起きている地域でイラン当局が大規模な取り締まりを行っていることに懸念を表明している。
人権団体によると、治安部隊の増援部隊がイラン西部の都市マハーバードに送られ、激しい銃撃や叫び声を捉えた画像や音声が夜の間、インターネット上に投稿された
テヘランの道徳警察に逮捕され、拘留中に亡くなった22歳のクルド系女性、マフサ・アミニさんの死に端を発したデモが2カ月以上続き、イランの聖職者から成る支配層は動揺している。
最初のデモはアミニさんの葬儀が行われた故郷サッゲズを含め、イランのクルド系住民が多い地域で起こり、全国に広がった。
人権団体が先に投稿した動画には、当局によるデモ弾圧で亡くなった人々の葬儀を含め、人々が通りで座り込みをし、バリケードを築くなど、マハーバードで起きた挑戦的な抗議活動の様子が収められている。
ノルウェーを拠点とする人権団体Hengawによると「武装した部隊」が西アゼルバイジャン州の主要都市オルーミーイェからマハーバードへ派遣された。
Hengawはツイッターに「マハーバードの住宅地では、激しい銃撃が起きている」と投稿した。
Hengawはまた、マハーバード上空を飛ぶヘリコプターの動画を投稿し、デモを鎮圧するために派遣された革命防衛隊員が乗っていると説明した。
Hengawによると、この地域中の事業主は治安部隊の暴力行為に抗議して11月20日にストライキを行う予定であった。
同じくノルウェーを拠点とする団体、イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)は18日から19日にかけてマハーバードで銃声が響く様子だとする動画を投稿した。
イラン・ヒューマン・ライツのマフムード・アミリ・モガッダム理事長は当局が「電力供給を止め、マシンガンの銃声が聞こえる…デモ参加者に死傷者が出ているという未確認の情報がある」と書き込んでいる。
モガッダム理事長は連続する銃声の中で叫び声がはっきりと聞こえる音声ファイルを投稿した。
クルド人は、イランにおける主要な非イラン系少数民族の一つであり、概してイラン国内で多数派のシーア派ではなく、イスラム教スンニ派を奉じている。
イランのタスニム通信は「暴徒」が治安部隊や軍人の住居に火を放ち、通りを封鎖して町で「テロを拡散」していると非難している。
タスニム通信によると、犯人の多くは逮捕され、死者は出ておらず、治安は回復しており、ストライキに関する報道は誤りである。
マハーバードはクルド人にとって特別な意味を持つ。
この都市は第二次大戦後の1946年、ソ連の支援で誕生した未承認のクルド人小国家で短命に終わったマハーバード共和国の中心である。共和国は1年も存続せず、イランが再びこの地域の支配権を主張した。
Hengawは19日、西部クルディスタン州の町ディバンダレで状況は「危機的」となっており、少なくとも3人の市民が政府軍により射殺されたと警告した。
Hengawはさらに、別のクルド系住民が多数を占める町でも、ブーカーンとサッゲズで爆発音が、ブーカーンで銃声が聞かれているとして懸念を表明した。
Hengawはまた、同じくクルド人地域の町サナンダジュで、河川敷で逃げようとする女性を治安部隊が銃撃する様子だとする映像を公開した。
イランで社会階層や民族集団を横断して拡大する抗議デモは、アリー・ハメネイ最高指導者率いるイランの指導層にとって1979年のイラン革命以来最大の挑戦となっている。
イラン当局はデモに弾圧で臨んでおり、その結果IHRによると19日の時点で少なくとも378名(内47名は子供)の死者が出ている。
IHRによれば、イランの31の州の内、25州でデモ参加者に死者が出ており、中でも123名の死者を出した東部スィスターン・バルーチェスターン州では当初別のきっかけからデモが起きていたが、その後国中の人々の怒りの抗議に合流することになった。
イラン当局は氏名不詳の5人に対して抗議活動のために死刑を言い渡した。アムネスティ・インターナショナルによると、少なくとも21人が抗議デモのために罪に問われており、極刑に処せられる可能性がある。
19日、ハメネイ氏は国中で起きている抗議デモ中の「殺人」と破壊行為への「罰」を誓った。
国営テレビによると、ハメネイ氏は外国勢力が「人々を通りに連れ出そうと画策」して「当局を疲弊させ」ようとしているものの、それは失敗に終わるだろうと述べた。
AFP