
アンカラ:トルコの大統領は22日、シリアのクルド人武装組織に対する新たな地上攻勢の可能性を再び示唆した。シリア軍が直近の空爆を非難し、ロシアが自制を求めエスカレーションの回避を呼びかける中でのことだ。
ロシア大統領府のアレクサンドル・ラブレンチェフ・シリア特使は、シリアでのエスカレーションを防ぐためにトルコは「一定の自制を示す」べきだと述べた。
シリアでは先週末、トルコによる空爆で多数のシリア兵が死傷して緊張が高まった。
ラブレンチェフ特使は、「シリア領内での過剰な武力行使を自制するようトルコ側を説得することが可能である」ことを望むと述べた。
クルド人主導のシリア民主軍(SDF)はこれより後に、同軍がダーイシュとの戦闘のために米国主導の連合軍と共有している基地に対し、トルコが22日に新たな空爆を行ったと発表した。
この基地はカーミシュリーの郊外で、トルコとの国境から約50kmの所にある。SDFによると、戦闘員2人が死亡し3人が負傷した。
トルコは先週末、クルド人武装組織のものと思われるシリアとイラク北部の標的に対し空爆を実行した。
これは、トルコがこれらの組織によるものとしている11月13日のイスタンブールでの爆弾テロに対する報復として行われた。
これらの組織はテロへの関与を否定している。
シリア当局によると、この空爆ではシリアのトルコとの国境沿いの3県にあるシリア軍の複数の拠点も標的とされ、多数のシリア軍兵士が死傷した。
ロシア国営通信によると、ラブレンチェフ特使はカザフスタンの首都アスタナで、シリアについての協議を前に次のように述べた。
「我々は当然ながらトルコ側に対し一定の自制を示すよう求めるつもりだ。シリアの北部だけでなく全領土における緊張のエスカレーションを防ぐためだ」
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、トルコの行動は空爆に限定されないと述べ、新たな攻勢の可能性を示唆した。22日にもこの立場を改めて表明した。
同大統領は、「我々はここ数日、航空機、大砲、ドローンでテロリストを追い詰めている」と述べた。
「できるだけ早く、戦車や兵士も使って彼らを根こそぎにする」
「今後は、我々には一つの手段、一つの境界線しかない。(それは)我が国と我が国民の安全だ。その安全を確保することは我々の最も正当な権利だ」
トルコは2016年以降シリア北部への大規模な攻勢を3回行っており、既に北部のシリア領土の一部を支配している。
トルコによる週末の空爆を受け、シリアのクルド人武装勢力と思われる集団は21日、ロケット弾を国境を越えたトルコに向かって発射した。
トルコ当局によると、この攻撃により少なくとも2人が死亡、10人が負傷した。
シリアのクルド人武装勢力はコメントや犯行声明は出していないが、SDFは21日、トルコの空爆に対して「しかるべき時にしかるべき場所で効果的かつ効率的に」対抗措置を取ると宣言した。
19日の夜と20日、トルコの戦闘機が非合法組織「クルディスタン労働者党(PKK)」とシリアの「人民防衛隊(YPG)」の拠点を攻撃した。
トルコ当局は、89の目標が破壊され多数の組織構成員が死亡したとしている。
あるシリア内戦監視団体によると、週末の空爆で35人が死亡した。
その内訳は、クルド人戦闘員18人、シリア政府軍兵士16人、地元のジャーナリスト1人だという。
AP