• 10月末にミシェル・アウン大統領が退任して以来、レバノンは1か月間国家元首不在となっている

ベイルート：危機の最中にあるレバノンの国会議員は12月1日、新大統領選出の8回目の試みを行ったが、またしても失敗した。政治的膠着は、レバノンの経済危機にさらに深刻な影響を与えている。

10月末にミシェル・アウン大統領が後継者のいない状態で退任して以来、レバノンは1か月間国家元首不在となっている。

議会はイランの支援を受ける強力な党派ヒズボラとその反対勢力とに分裂しており、いずれも明確に過半数を制することができていない。

アメリカ寄りと見られているミシェル・モアワド議員は1日、37名の議員から支持を得たが、必要な過半数には遠く及ばなかった。また、主に親ヒズボラ派の議員から、52の無効票が投じられた。

128名の議員の内、111名しか投票に姿を見せなかった。

一部には悪ふざけのような名前を投票用紙に記入した議員もおり、1票が左派のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ・ブラジル次期大統領に投じられた。

議会は「その責務を担っていない」とヒズボラと対立するキリスト教政党レバノン軍団に所属するアントワン・ハブチ議員は糾弾した。

大統領を選出し、首相を指名し、組閣を行うまでに数か月、場合によっては数年に及ぶ駆け引きが繰り広げられる可能性もある。

レバノンは現在、世界銀行が近代の歴史上最悪級と評する金融危機に取り組んでおり、通貨価値は急落し、深刻な電力不足と急上昇する貧困率に悩まされているため、長引く政治の空白に耐える余裕はない。

レバノンの暫定政府は国際的金融機関が数十億ドルの救済融資を行う条件として要求している抜本的改革を実施できずにいる。

ヒズボラはモアワド氏の立候補に反対しており、イランが支援するヒズボラの指導者ハッサン・ナスラッラー氏は先月、アメリカに抵抗する用意のある大統領が望ましいと述べていた。

モアワド氏はアメリカ政府と良好な関係にあり、繰り返しヒズボラの武装解除を求めてきた。ヒズボラは1975年から1990年のレバノン内戦終了後も、武器を保持している唯一の派閥である。

2016年にアウン前大統領が選出される前には、2年以上の大統領職の空位が続き、アウン氏の立候補に関してコンセンサスが得られるまでに、議員たちは45回合意に失敗している。

慣例により、レバノン大統領にはマロン派キリスト教徒が、首相にはスンニ派イスラム教徒が、議会議長にはシーア派イスラム教徒が就くことになっている。

12月8日に、大統領選出のため再度議会が招集される予定である。

AFP