
アラブニュース
ロンドン:シリア北東部の収容所に拘束されている元英国人のダーイシュ入隊者は、医療介入なしでは死亡してしまう。英国政府の無策は「野蛮行為」と言えると、ある神経科医がタイムズ紙に語った。
レイラという仮名で知られる40代の女性は、紛争中に初めてシリアに渡り、ダーイシュの一員となった。
このテロ組織が崩壊し、数千人の元戦闘員とその家族が拘束されたことを受け、榴散弾による傷のためにてんかんを患い、半身不随の状態にあるレイラさんは、国民保健サービスのコンサルタント神経科医であるデイビッド·ニコル医師を通じて繰り返し医療援助を訴えてきた。
しかし、レイラさんは早急な医療援助がなければ死んでしまうとニコル医師が何度も政府に警告しているにもかかわらず、政府はまだこの件に関して対応していない。
ニコル医師は昨年末にオンライン会議でレイラさんを初めて診察した。11月に再びZoomでビデオ通話をしたところ、彼女の状態は著しく悪化しており、首に残った榴散弾の破片が大動脈の近くまで移動して危険な状態になっていることがわかった。
ニコル医師はこう述べている。「彼女は病気であり、死の危険にさらされています。すぐにあの場所から連れ出し、帰国させる必要があります。まったく非人道的です」
大学の学位を持ち、夫とシリアに渡航する前は英国でハイレベルな公共部門の職に就いていたレイラさんは、2019年に脳卒中を発症した。「彼女は脳卒中の結果、人生を変えてしまうような神経学的損傷を受けました」とニコル医師は述べている。
「彼女はアラビア語を話せないので、与えられている医学的なアドバイスを理解するのは難しいのです。
「私が以前述べた意見がまだ実行に移されておらず、緊急移送を必要とする彼女のケースが残っていることには頭を悩ませています。
「この件に関しては、すべてがめちゃくちゃです。彼女の息子も弱っている中でこの件のすべてを目にしています。彼は子供がいてはいけない場所にいるのです」
レイラさんは6月にサンデー·タイムズの取材に応じ、次のように主張した。「私は決して脅威をもたらすような存在ではありませんでした」。さらに、彼女はこう続けている。「人々が私が何をしたと思っていようと、私には裁判を受ける覚悟ができています。私は過ちを犯しました。でもなぜ息子にそれを償わせなければならないのでしょうか?
「キャンプでの生活は本当に、本当に大変です。松葉杖で石の上を歩くのは困難です。何でもかんでも助けを求めなければならないことを恥ずかしく思っていますし、テントはとても暑くて、風が強いとテントごと動いてしまうんです。」
人権団体リプリーブ(Reprieve)も英国政府に対し、早急に行動し、レイラさんを救出するよう訴えている。
同団体は、ジェームズ·クレバリー外務大臣に宛てて、次のような手紙を送った。「彼女の状態は危機的状況にあり、現地の医師は緊急の手術を受けなければ死ぬと告げています。彼女はシリア北東部では提供できない早急な医療援助を必要としています」
この訴えに対し、クレバリー氏はタイムズ紙にこう語っている。「具体的なケースに触れるつもりはありません。それらは難しく、複雑であり、我々は常に確認をしています」