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シリアの人道危機に関し、国連で再び警鐘が鳴らされる

国連のマーク・ローコック緊急援助調整官
国連のマーク・ローコック緊急援助調整官
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17 Dec 2020 05:12:34 GMT9
17 Dec 2020 05:12:34 GMT9
  • 政治的プロセスはシリアの人々に成果をもたらすことができておらず、彼らは結果的に「深く苦しみ続けている」と特使は述べた

エフレム・コサイフィ

ニューヨーク:国連のマーク・ローコック緊急援助調整官は、厳しい冬に直面する準備をしているシリアの人々が置かれている不安定な状況に対し、再度警鐘を鳴らした。

2011年3月に内戦が始まってから10年が経とうとする中、シリア北部では、ここ数週間、戦闘が続いており、民間人が危険にさらされている。ローコック氏は16日、安全保障理事会に対し、数百万人のシリア人が住む場所を追われ、貧困にあえぎ、「トラウマや深い個人的な損失」に苦しんでいると語った。

シリア全土の、避難民となった家族の80%以上が、自分たちの収入では必需品を賄えないと言っている。北西部では、子供の発育不全が5%増加し、避難民となった母親の37%が栄養不足だ。

シリア経済は崩壊を続けており、新型コロナウイルスの世界的流行、そして食料不安と栄養不良の増加によって問題は悪化している。

その結果、援助を必要とするシリア人の数が急増した、と国連事務次長(人道問題担当)で緊急援助調整官であるローコック氏は述べた。現在の資金レベルでは、援助を最も必要としている300万人のうち約230万人にしか援助が届かないことになる、と同氏は補足し、「もっと必要だ」と述べた。

シリアで報告される、新型コロナウイルスの感染者数も増加している。検査が限られているため、感染拡大の規模を正確に測定することは不可能だが、ローコック氏によると、スウェイダやホムスといった地域では病院は最大定員数に達している。

「我々は、病気の人の多くが入院治療を求めようとしないことも知っている」と同氏は付け加えた。

ローコック氏は、差し迫った健康上の脅威に加えて、教育を受ける機会の減少を含む、今回のパンデミックの二次的影響についても懸念を表明した。同氏はセーブ・ザ・チルドレンが行った調査を引用し、シリア北部の若者の3分の2が、パンデミックおよび貧困レベルの上昇のため、もはや学校に通っていないと推定されていると述べた。

その一方で、食料や燃料を見つけるのが以前より難しくなり、コストが高騰している。例えば、パンやディーゼル油の価格は9月の2倍になった。

世界食糧計画(WFP)が2013年にシリアの物価の監視を開始して以来、「標準的基準である、食品詰め合わせバスケットの市場価格は、どの時点よりも高い」とローコック氏は述べた。

一方、北東部での人道援助活動は、人々を援助するための取り組みに立ちはだかる難題に直面している。例えば、ある団体はシリア当局から、政府の支配下にないラッカ県の約22万人にWFPの食料援助を分配することをやめるよう命じられた。

「援助が中止されたとき、最も困るのは苦しんでいる人たちだ」とローコック氏は述べた。「国際人道法は、全当事者が、困窮している民間人に対する人道援助が迅速かつ妨害を受けずに届けられることを許可し、円滑化することを要求している」

一方、国連のゲイル・ペダーセン・シリア担当特使は安全保障理事会に、今月ジュネーブで招集された、シリア憲法委員会の小委員会の第4回会合の結果を説明した。

シリアの多くの地域に脆弱な平穏が訪れているが、2015年12月に採択された国連安全保障理事会決議2254号が想定している、全国的な停戦には程遠い、と同氏は述べた。

「砲撃や空爆、IED(簡易爆発物)による攻撃により、民間人の死傷者が続出している」と同氏は述べた。

同氏はまた、シリアでは5つの国際的な部隊が活動しており、同国は依然として「大きな国際事件につながる危険地域」であり、地域全体に影響を及ぼす可能性があると警告した。

ペダーセン氏は、10年近くにわたる紛争の後、政治プロセスはシリアの人々に成果をもたらすことができておらず、彼らは国内外で「深く苦しみ続けている」と指摘した。

被拘禁者、拉致被害者、行方不明者の問題が進展していないことに失望し、「政治的解決によってのみ、この苦しみを終わらせ、新たな紛争と不安定化を防止し、シリアの民間人と地域をさらに重大な危機から守ることができる」と同氏は述べた。

同氏は、憲法委員会で提示された立場や話には、はっきりした見解の相違があり、何度か緊迫する場面があったと付け加えた。

シリアと中東地域と世界の溝の深さを背景に、建設的な外交につながる、相互的、互恵的な措置を促す方法に関して合意を築くことが「非常に困難であることが分かっている」とペダーセン氏は認めた。

「だが、それは可能であり、それを可能にする共通の利益がある、と私は確信している」と同氏は述べた。

同氏は、憲法委員会は1月に再び招集することで合意したと付け加えた。

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