ナジャ・フーサリ
ベイルート:国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)はレバノン政府に対し、同国南部でアイルランド人兵士が射殺された件を早急に調査するよう求めた。
UNIFILの車列がアル・アカビヤ近郊で銃撃を受け、死者1名の他3名の兵士が負傷した。アイルランド軍が明らかにした。
12月14日夜、レバノン南部を走行していた23歳のショーン・ルーニー二等兵が乗った車両が車列を離れた際に攻撃の標的となり、二等兵は死亡した。この場所はUNFILの活動地域の外部であった。
レバノンのナジーブ・ミカティ暫定首相とジョセフ・アウン将軍は16日、ナコウラのUNFIL本部を訪れてUNIFILのアロルド・ラザロ司令官に弔意を伝えた。
アウン将軍は、レバノン軍とUNIFIL双方が連携して事件に対応中だと述べた。
ミカティ氏は次のような声明を出した。「アイルランド軍兵士の殺害について、現在捜査が行われており、この件に関わった人物は誰であれ罰を受けるだろう」
政党アマルに所属する議員もUNFIL本部に代表団を派遣して弔意を表し、平和維持軍との連帯を強調した。
アイルランドのサイモン・コヴェニー外相はレバノンのモーリス・スリム暫定防衛相との電話会談で、この件の推移を注視していると述べた。
コヴェニー氏は以下のように発言した。「20年間、UNIFILアイルランド軍部隊はいかなる攻撃も受けずにきました。現在も当該地域での平和維持という責務を遂行しています」
コヴェニー氏はUNIFILのアイルランド軍部隊が数十年にわたり果たしてきた役割を鑑みて、捜査により真実が明らかにされることの重要性を強調した。
フランス外務省とアメリカ国務省もこの事件と平和維持部隊員がさらされている法外なレベルの暴力を非難し、この暴力がレバノン市民をも危険にさらすとともにレバノン南部の安定を脅かしていると指摘した。
アメリカ国務省はレバノン政府に対し、UNIFILに全面協力するよう求めた。
アイルランドのマイケル・D・ヒギンズ大統領は次のように述べた。「我々アイルランド国民は、国連と協力して平和維持活動を続けてきたことを、大変誇りに思っています。しかしながら、この仕事に付随する危険を決して忘れてはなりません」
アイルランドのマイケル・マーティン首相は以下のように述べた。「我々は、困難で非友好的な環境で活動している」
ある情報筋がアラブニュースに語ったところでは、「この件はUNIFIL上層部、レバノン軍諜報機関、捜査に協力するためレバノン入りする予定のアイルランドの調査チームの3つが担当する」
この情報筋によると、被害に遭った車両は7発の銃弾を浴びており、検視を担当した医師は、運転していた犠牲者は頭部に銃撃を受けて即死したと話したという。
これによって車両は横転し、他3名の兵士も負傷し、内1名は重体である。
この情報源はさらに、以下のように話した。「いくつかの疑問が残っている。車がなぜ車列を離れたのか、なぜレバノン軍が護送に当たっていなかったのか、被害者はすべてのUNIFIL部隊が支給するGPSを使用していたのか否か、そして彼が通信機器を使って本部に道に迷ったと報告したのか否かである。
アル・アカビヤの若者たちは、それまでこの町にはとりわけ夜間にUNIFIL部隊が入ることはなかったため、UNFILの車両を見て不安を感じたと考えられる。車は包囲された」
9月に安保理決議が更新されて以降、UNIFILのパトロール隊と主にヒズボラを支持する活動地域の住民の間に大きな衝突は起きていなかった。
だが、UNIFIL部隊が私有地や住宅地に立ち入ったなどの理由で車両が破壊される、通信機器が奪われる、兵士が怪我をするといったトラブルは起きていた。
14日の事件に関して、ヒズボラは関与を否定している。
UNIFILは毎日、レバノン軍の護衛とともに活動地域の400以上の地区をパトロールしている。
UNIFILには約11,000の将兵が所属し、内350名はアイルランド軍兵士である。
情報筋によると、「UNIFILの車列は14日夜にアイルランド軍部隊が本部を置くアル・ティリの町を出発し、犠牲となった若い兵士が家族と休暇を過ごすために帰国したいと希望したためベイルートのラフィク・ハリリ国際空港へ向かっていた」