Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • イラン人ディアスポラ、活動家モラディ氏のフランスでの死に震撼

イラン人ディアスポラ、活動家モラディ氏のフランスでの死に震撼

イランの「女性、声明、自由」の抗議運動への注意喚起のために自死したイラン人モハンマド・モラディ氏が死の直前に発信したメッセージ、リヨン、フランス。このスクリーンショットは、2022年12月26日にソーシャルメディア上で公開されたビデオから保存された。(ロイター通信)  
イランの「女性、声明、自由」の抗議運動への注意喚起のために自死したイラン人モハンマド・モラディ氏が死の直前に発信したメッセージ、リヨン、フランス。このスクリーンショットは、2022年12月26日にソーシャルメディア上で公開されたビデオから保存された。(ロイター通信)  
Short Url:
31 Dec 2022 07:12:09 GMT9
31 Dec 2022 07:12:09 GMT9

パリ: イラン国内の抗議行動に苦悩した38歳の男性がフランスの都市リヨンで自死し、イラン人ディアスポラの人々は彼の悲痛な思いに打ちひしがれている。

反体制抗議行動の開始以来3か月、国外在住のイラン人たちは様々な感情を日々抱いいる。

活動家たちやカウンセラーたちは、今週のモハンマド・モラディ氏の絶望的な行動が、多くの人たちの心に訴えかけ、イランの現状についての認知の向上と支援へと繋がることを願っている。

生前に録画されたペルシア語とフランス語の動画で、モラディ氏はイランの指導者たちを批判し欧米諸国の政府の連帯を呼びかけていた。

動画の中でモラディ氏は、「皆さんがこのビデオを見る頃には私は死んでいることでしょう」と語っている。

クルド系イラン人のモラディ氏は夫人と共にフランスに2019年に移住し歴史学でのPhD取得を目指していた。

月曜日の彼の自死は、多方面で反響を呼んだ。

活動家やモラディ氏の友人といったリヨン地域の他のイラン人たちは、警察が自殺と想定し検証を行っている彼の死亡現場に花とキャンドルを持ち寄った。

9月にイラン警察に拘束された22歳のマフサ・アミニ氏が死亡したことに端を発する前例の無い抗議行動が展開されるようになって以来、イラン人ディアスポラの人々は深く苦悩している。

イランの厳しい服装規定に違反したかどで警察はアミニ氏を拘束していた。

「モハンマド・モラディ氏は世界中でイラン人ディアスポラとして生きる私たち全員の象徴です」と、フンラスのトゥールーズでイランの聖職者に対する抗議行動を組織したヘンガメ・ヤヒャザデ氏が語った。

モラディ氏のインスタグラムのプロフィールには、文学、詩、政治に興味を持っていると書かれている。

多くの海外在住のイラン人たちと同様、モラディ氏はインスタグラムを用いて、イラン政権の聖職者支配の批判や、リヨンでの抗議行動への参加記録、イランでの抗議行動参加者の扱いに対する憤慨について発信していた。

共感が広がっている。

「恐怖を覚えて起床する日が度々あります」と、ヤヒャザデ氏は語った。

「私にはイランの刑務所に収監されているたくさんの友人がいます。その内の誰かが処刑されたという十分あり得る知らせにどう向き合えば良いのか、私には怖いのです」。

この情勢不安をイラン国内で注視してきた団体「ヒューマン・ライツ・アクティヴィスト」によれば、抗議行動開始以来、少なくとも507人の参加者が殺害され、18,500人以上が逮捕されている。

イラン当局は、殺害されたり逮捕された人数を公表していない。

また、十数人の人々が抗議行動への関与したことにより死刑となる危険に直面している。

フランスを拠点に移民を支援する組織を代表するハナエ・エルバッカリ氏は、故国からのニュースにより海外在住を強いられているイラン人の多くが、緊張を引き起こす事柄を処理できないことから生じる心理的状態、つまり「代償不全」の状態にあると述べている。

「重大な出来事が故国で起きている時、過去のトラウマが呼び覚まされます。忘れていたこと、脇に置いたつもりがそうではなかったことに圧力がかかるのです」と、エルバッカリ氏はAPに語った。

「人々は故国で体験したことをフラッシュバックのように追体験します。悪夢を見たり、同じことを繰り返し考えてしまったり、睡眠障害になったり、記憶障害が起きたり、不安や抑うつの症状が出てきたり、自傷行為をしたりするようになるのです」。

その結果、海外で抗議活動の過激な参加者となる人々は「悪化した心理状態で意見を主張する」ようになるのだと、エルバッカリ氏は話した。

ロンドンの著名なクルド系イラン人活動家であるハラレ・タヘリ氏は、モラディ氏の死が苦痛を感じている人々が集い政治に関与する契機となることを願っている。

「彼の名前は、この革命で命を落としたすべての人々と共にあります」と、タヘリ氏は語った。タヘリ氏自身、シャーから政権を奪取した1979年のイラン革命に参加し、その後亡命を余儀なくされるまで聖職者支配と戦っている。

タヘリ氏は、英国内の中東出身の女性の権利を養護する、ロンドンに拠点を置く慈善団体のMEWSの創設者だ。

「血を流したり、我々自身、我々の命を犠牲にすることなく、助け合いと連帯、そして団結を示し、グループやネットワークを通じてイランについての意識を高めることで、イラン政権と戦えるように将来なることを希望しています」と、言った。

「イランは私たちをも必要としているのです」と、タヘリ氏は語った。

「イランが苦痛に満ちていることを私たちは知っています。そして、私たちはその解放に参加したいのです。そのために、私たちは街に出て活動しています」。

AP

特に人気
オススメ

return to top