
イランの最高裁判所が、反政府デモの最中に公共物を傷つけた器物破損の容疑で、死刑判決を下されていた抗議者の上告を認め、審理をやり直すために判決を差し戻したと司法当局から31日に発表された。
25歳のヌール・モハマドザデ氏はテヘランで幹線道路のガードレールを破壊しようとし、さらにゴミ箱に火を放った疑いで10月4日に逮捕され、その2か月後に「神に戦いを挑んだ」罪により死刑判決を言い渡された。
彼は自分の有罪を認める自白を強いられたと話して罪状を否認し、2週間前からハンガーストライキを始めた。
イランでは、クルド系イラン人のマフサ・アミニさんがイスラム共和国の厳格な女性の服装規定を強いる風紀警察に逮捕され、勾留中に亡くなってから、9月に巻き起こった騒動に関連してすでに2人の死刑が執行されている。
アムネスティ・インターナショナルはイラン当局が、同人権擁護団体が言うところの抗議者を脅すキャンペーン活動として、ほかに少なくとも26人に対して死刑を求刑しようとしていると話した。
イラン当局は外部の敵国やその政府の代表者たちが今回の騒動を画策したとして非難した。
「最高裁判所は、最近の暴動で罪に問われた容疑者の一人、サハンド・ヌール・モハマドザデ被告の訴えを認めました。彼の判決は審理をやり直すために革命裁判所の同じ支部に差し戻されました」と司法当局のミザン通信社がツイッターで明らかにした。
先週、最高裁判所はラッパーのサマン・サイディ・ヤシン被告による死刑判決の上告を認めたが、抗議者のモハマド・コバドルー被告には同じ判決を言い渡すことを認めた。
今月初め、抗議者のマハン・サドラット被告に対する死刑判決は保留にされた。彼は治安部隊の隊員を刺し、バイクに火をつけたなど、さまざまな容疑で告訴されていた。
イランでは2人の抗議者が今月初めに絞首刑に処されている。23歳のモーセン・シェカリ被告は9月に大通りの通行を妨げ、イスラム革命防衛隊の民兵部隊であるバスィージの隊員をナイフで傷つけた罪に問われた。また、23歳のマジッド・レザ・ラナバード被告はバスィージの隊員を刺殺した罪に問われた。
ラナバード被告は建設用のクレーンから首をつられ、公開処刑にされた。
人権活動家通信HRANAによれば、30日の時点で、508人の抗議者が殺害され、そのうち69人が未成年者であったという。また、治安部隊も66人が殺害されたという。
およそ19,199人の抗議者たちが逮捕されたとみられているとHRANAは述べた。
イラン当局は今回の騒動で、治安部隊の隊員を含めて、最大300人の人々が亡くなったと述べている。
ロイター