
アンカラ:スウェーデンのウルフ・クリスターソン首相は、ストックホルム中心部でトルコ大統領の人形を街灯に吊るしたクルド人による抗議活動を、スウェーデンのNATO加盟に対する「妨害」行為であるとして非難した。
市庁舎の外で11日に起こった抗議活動は、怒りの反発をトルコから招いた。
トルコは、自国の要求をストックホルムの政府が満たすまで、スウェーデンのNATO加盟申請を認めないとして退けていたNATO加盟国である。
トルコ議会のムスタファ・セントップ議長は、来週17日に予定されていたスウェーデン議会のアンドレアス・ノーレン議長の訪問を取りやめた。
北欧の国であるスウェーデンがNATOへの加盟を果たすには、トルコ議員らがその申請を批准する必要がある。
「訪問が中止されたことを遺憾に思います」と、ノーレン議長はスウェーデンのTT通信社に語った。
トルコは、スウェーデンの加盟承認について、亡命中のクルド人過激派やアンカラが国家安全保障への脅威と見なすその他グループを、ストックホルムが厳しく取り締まることを条件としている。
トルコ外務省は12日、ストックホルムで行われたデモについてスウェーデン大使を呼び出した。
クリスターソン首相は、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の人形が用いられた事件を非難した。
彼は13日にスウェーデンの放送局TV4に対し、2人の有力政治家が殺されたことのある国で「民主的に選ばれた外国の指導者の模擬処刑」を行うことは「極めて深刻」な事件であると語った。
スウェーデンのオロフ・パルメ元首相は1986年に暗殺され、アンナ・リンド元外相は2003年に刺されて致命傷を負った。
「これは、スウェーデンのNATO申請に対する妨害行為といえるでしょう」とクリスターソン首相は述べた。
「スウェーデンの安全保障にとって、このような行動は危険です」
ロジャヴァのためのスウェーデン連帯委員会(Swedish Solidarity Committee for Rojava)を名乗るグループが、今回の抗議活動の首謀者であると主張した。ロジャヴァは、シリア北部と東部のクルド語の名称である。
アンドレアスとのみ名乗ったある男性は、人形を設置した集団の1人であるとスウェーデンのタブロイド紙フトンブラーデットに語った。「反発を引き起こすためです。トルコが民主主義国家ではないと示すためにやりました。わたしたちは成功しました」
トルコのメヴリュット・チャヴシュオール外相は、この抗議活動を人種差別行為であり、憎悪犯罪であると言い表した。
スウェーデンは、この事件への非難のみで「逃げきる」ことはできないだろう、とチャヴシュオール外相は述べた。
「これは街の中心で、当局の、全市民の目の前で行われた行為です」とチャヴシュオール外相は述べた。「スウェーデンは、この事に責任があります」
スウェーデンとフィンランドは、彼らにできることについて約束をし、署名しました」と、スウェーデンおよびフィンランドが誓約した事柄に言及して大臣は述べた。
2国は、署名した覚書に基づいて、とりわけ過激派グループの活動に対する厳重な取り締まりを誓ったのである。
「我々が求めるのは、それ以上でもそれ以下でもありません。何であれ、合意されたことの履行を望んでいます」
金曜日の早い段階で、チャヴシュオール外相は、追放されたクルド労働者党(PKK)とシリアの関連クルド人グループが「スウェーデンのNATO加盟の道に地雷を埋めています」と述べた。
彼は、トルコの国営放送TRTとのインタビューで、「これらの地雷を取り除くか、承知の上で踏むのかは、スウェーデンが決めることです」と述べた。
スウェーデンのトビアス・ビルストレム外相は、抗議活動が「スウェーデンとNATOを介して将来の同盟国となるトルコが、互いの信頼を築くために一歩ずつ努力しながら始めたプロセスを複雑化し、遅らせようとしている」と指摘した。
「この行為は直ちにロシアの手に渡り、わが国を弱体化させます。それが、第二次世界大戦以来最も深刻な安全保障状況の中で起こりました」とスウェーデン外相は述べた。
ロシアのウクライナ侵攻に警戒したスウェーデンとフィンランドは、長年の軍事的非同盟政策を放棄し、NATOへの加盟を5月に申請した。
この安全保障組織への北欧2ヶ国の加盟を認めるには、加盟国30カ国すべての同意が得られなければならない。
トルコ政府は、フィンランドとスウェーデンに対し、テロ組織と見なすグループの取り締まりと、テロ関連犯罪の疑いがある人々の引き渡しを迫っている。
チャヴシュオール外相は先月、トルコの関心事について、スウェーデンの対処は「半分」も進んでいないと述べた。
一方でチャヴシュオール外相は、トルコ、スウェーデン、フィンランドの当局者による3回目の会合がブリュッセルにあるNATO本部で開催予定であると述べている。
AP