

アラブニュース
ダボス: 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムで水曜日に演説し、ネットゼロの炭素排出の達成に向けた取り組みの拡大を、世界の首脳や企業に要請した。
グテーレス事務総長は、また、ビジネスリーダーたちに、いかにネットゼロを達成する予定なのかについて「信頼性と透明性を有した」計画を年末までに提供するよう呼びかけた。
多くの企業が「疑わしい、または曖昧な」基準に基づいて気候目標を設定しており、そうした目標が「消費者や投資家、規制当局を見せかけの物語で欺き」かねないと、グテーレス事務総長は警告した。
「虚偽の目標が気候関連の誤情報と混乱を助長し、「グリーンウォッシング』が容易に発生する状況を作り出しています」と、グテーレス事務総長はWEF年次総会の出席者たちに語った。
「ネットゼロへの移行の根拠は実際の排出削減でなければならず、炭素クレジットやシャドウ・マーケットに依存するものでは本来あり得ません。それが、ネットゼロ排出達成責任専門家グループを私たち国連が設立した理由です」。
人為的な気候変動に関連した災害の規模の増大と頻度の増加を阻む時間は尽きかけていると、グテーレス事務総長は警告した。
「私たちはカテゴリー5の嵐の目をのぞき込んでいるのです」と、グテーレス事務総長は付け加えた。
気候変動の最悪の影響を回避するためには地球の気温の上昇を産業革命以前の水準の1.5 ℃以内に抑え込まなければならないと科学者たちは述べている。地球の表面温度の平均値は1800年代終盤から既に1.8 ℃上昇している。
グテーレス事務総長は、世界に「化石燃料への依存からの脱却」を呼びかけ、温暖化を1.5℃に抑えるという意欲的な目標が「雲散霧消」しかけていると警告した。
「化石燃料生産者たちとそのイネイブラーたちは依然として生産拡大を競い合っています。そのビジネスモデルが人類の生存に反していることを十分認識していながらそうしているのです」と、グテーレス事務総長は語った。
「この狂気はSFのようですが、生態系の崩壊が客観的で厳然たる事実であることを私たちは知っています」。
2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議 (COP 21) において196ヶ国が採択した気候変動に関する法的拘束力を有した国際合意であるパリ協定で、2030年までに温室効果ガス排出量を45%まで削減するよう取り組みを強化することを各国が確約した。
パリ協定は、また、気候変動の悪影響に対する回復力の増強と、地球温暖化を1.5 ℃の上昇に抑え込み、ネットゼロ排出を2050年までに達成するための取り組みのための地域的、国際的協力を支持、推進することも義務付けた。
英国の独立諮問機関エネルギー&クライメイト・インテリジェンス・ユニットの追跡調査によると、現時点で137ヶ国がカーボンニュートラルの達成に取り組んでいる。その内、124ヶ国が2050年までの目標を設定している。
現在の所、ブータンとスリナムの2か国だけがカーボンニュートラルを達成している。実際、これらの国はカーボンマイナスに至っている。24か国が気候目標を公式に政策としている。そうした国々には、世界最大級の排出国であるブラジル、中国、ドイツ、米国が含まれている。カナダ、韓国、他EU加盟国の5ヶ国は法整備を進めている。
パリ協定の193の参加国が既存の公約を実行した場合でも、世界の温室効果ガス排出量は、2010年に比べて、11%近く増加すると見積もられている。