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パスポートの苦悩:ゴラン高原のアラブ系住民、イスラエル市民権を拒否

ゴラン高原の住民は、1981年の、イスラエルがこの戦略上重要な高原を併合する法律に抗議している。(AFP/ファイル)
ゴラン高原の住民は、1981年の、イスラエルがこの戦略上重要な高原を併合する法律に抗議している。(AFP/ファイル)
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23 Jan 2023 03:01:54 GMT9
23 Jan 2023 03:01:54 GMT9
  • エジプトによる渡航要件廃止は、アラブ諸国における同様の処置への期待を高めている。

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:占領下にあるシリアのゴラン高原の住民は、アラブ諸国と国際社会に対し、渡航要件としてのイスラエル市民権の撤廃を求めている。

イスラエルによる1981年のゴラン高原併合は、国際的な非難を浴びた。

ゴラン高原の3万人の住民は、東エルサレム市民と同様のイスラエルの身分証明書を所持しており、居住者、非市民と記されている。

ゴラン・コミュニティの著名な指導者の一人、アイマン・アブ・ジャバル氏はアラブニュースに対し、「パスポートを所持していないため、ここの住民は文化的、政治的、社会的、経済的に包囲された状態で、アラブ世界と深く結びつくことができない」と述べた。

エジプトは最近、ゴラン高原のシリア人コミュニティからの要請に応じ、同国への渡航にイスラエル市民権を求めないことで合意した。

同コミュニティの声明は、ゴラン高原の経済状態が悪いため、地域の若者たちはアラブ諸国での就労を願っていると述べている。

ところが、イスラエル市民権が要件であるため、多くの人が海外に移住できないと同声明は付け加えている。

エジプトは、イスラエル市民権の要件を取り消した後、ゴラン高原の占領を非難し、同地域の住民がシリア・アラブ人としてのアイデンティティを堅持していることを賞賛した。

エジプトは、トランジット文書とビザによるゴラン高原からの渡航者を歓迎すると述べた。

ゴラン・コミュニティのアブ・ジャバル氏はエジプトの決定を賞賛し、「占領地に住むゴラン住民の地位を強化するもの」と述べた。

同氏はさらに、「残念ながら、ゴラン住民の大半は、教育を修了するため、あるいは保持しているイスラエルの身分証明書を認めない国々へ渡航するために、イスラエル市民権を取得せざるを得なかった」と述べた。

イスラエル当局はこの状況を悪用し、イスラエル市民権の取得をゴラン高原の住民に強制しているのだと、同氏は警告した。

エジプト当局はゴラン高原の住民に、ビザなしでタバとシャルム・エル・シェイクを訪問できると伝えた。

この進展により、他のアラブ諸国が追随し、ゴラン高原住民に対するイスラエル市民権要件を撤廃することへの期待が高まっている。

コミュニティーの指導者たちはシリア外務省とも協力し、アラブ諸国が同様の処置を取るよう促している。

「シリア国家が、占領下にあるシリアのゴランに対するこの渡航要件の撤廃に向け、世界の国々とのコミュニケーションにおける努力を増し加えるよう要求する」と、コミュニティの声明は述べている。

「同時に、占領下のシリアのゴラン高原の若者たちに、イスラエル市民権の取得を代償として国々へ渡航するという誘惑に陥らないよう呼びかけたい」

「忍耐と不動の態度が少しあれば、我々はそうした国々への渡航要件を回避し、取り除くことができる」と声明は付け加えた。

一方、ゴラン高原の農業指導者たちはアラブニュースとの以前の対話で、アラブの数ヵ国が行政上の懸念からリンゴの輸入を拒否していると不満を述べていた。

対照的に、ゴラン高原のイスラエル人入植地で栽培されたリンゴは輸出されている。

歴代のイスラエル政府は、ゴラン高原各地にある32の入植地のイスラエル人の人口を増やそうとしてきた。

占領下のシリアのゴランの、およそ3万人のアラブ人は主要な村々に住んでいる。マイダル・シャムス、ブカタ、マサダ、アインチーニエ、シェバファームに近いガジャールだ。

ドナルド・トランプ アメリカ前大統領は2019年3月に、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を公式に認め、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はそれを「歴史的」と賞賛した。

シリアは長年にわたり、イスラエルがゴラン高原から撤退しない限り、同国との和平協定を拒否すると主張してきた。

米国が仲介した前回の直接和平交渉は2000年に決裂し、2008年にはトルコの仲介により間接的な交渉が行われた。

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