• 経済学者のジャセム・アジャカ氏が、アラブニュースに、 「レバノンはベネズエラの後を追っています。通貨価値のこれほどの急落を阻もうとする中央銀行の介入も政府の動きがなければ結果を出せないでしょう」と、語った。

ベイルート: 24時間足らずの間に、レバノンの通貨価値は対米ドルで １万レバノン・ポンド以上下落し、為替レートは１米ドルが70,000レバノン・ポンドになった。レバノン国民が1米ドルが50,000レバノン・ポンドになることを危惧していた矢先の急落だった。

経済学者のジャセム・アジャカ氏は、アラブニュースに、「レバノンはベネズエラの後を追っています。通貨価値のこれほどの急落を阻もうとする中央銀行の介入も政府の動きがなければ結果を出せないでしょう」と、語った。

アジャカ氏は、レバノンの社会構造、政治や司法に対する信頼感の不在、レバノンの債務不履行に起因する国際社会との対立が問題だと確信している。

民間企業やサービス関連機関は、損失回避のために、将来の追加的な通貨切り下げを見越して、ずっと高い為替レートに基づいた価格・料金を設定した。この動きが、市民の購買力を大きく低下させた。

20リットル入りの燃料缶の価格は、24時間経たない内に147,000レバノン・ポンド (LBP) 跳ね上がり、 1,147,000 LBP (60,000 LBP/USDの為替レートで19米ドル) となった。この価格は、公務員の給与に相当する。

為替レートが不安定なため、食料品店の店主は営業時間を急遽切り上げたり特定の商品の販売を控えたりせざるを得なくなった。

金曜日には、レバノンの各地方において街頭での抗議運動にさらに多数の人々が参加し、タイヤを燃やして道路を封鎖した。バールベック国際道路は経済状況への抗議運動により完全封鎖された。レバノン北部のアル・ミニャ国際道路でも、生活水準の低下への抗議運動の参加者たちによって両方向の交通が遮断された。

経済省は、ピタブレッドの大束の値段を29,000 LBP (48米セント) に上げる決定を下した。

物価高騰により、一部のタクシー運転手は渋滞による燃料の浪費を避けるために特定の地域に留まることを選択し、運賃を為替レートに従って絶えず変更し続けた。

「医薬品の供給業者と倉庫所有者は一週間ほど前に納品を完全停止しました。医薬品輸入業者の企業連合は、現在、ガソリンスタンドのように、毎日発表される価格表に基づいてのみ、医薬品を納品します。」と、医薬品輸入の企業連合は声明で述べた。

この企業連合を率いるジョー・サルーム氏は、「保健省の指標と非合法市場の為替レート間の価格差が、このセクターを完全崩壊に至らしめた理由の1つです」と述べた。

ベイルートの薬剤師であるロバート氏は、保健省の指標に従って50,000 LBP/USDの為替レートで医薬品を販売したが、非合法市場での為替レートは61,000 LBP/USDであり、つまりこれは赤字にならずに同じ医薬品を仕入れることはもう出来なくなったということなのだと語った。

「どの医薬品であれ、売ったらもう仕入れられません。供給業者が医薬品をほとんど納品してくれないのです。そして、為替レートは常に変化しています。その一方で不足している医薬品のリストは長くなるばかりです」と、ロバート氏は付け加えた。

不安定な為替レートのためにレバノン政府には病院関連費用の負担が出来なくなっていることを受けて、先週、病院の企業連合は、必要な医薬品の支払いを社会保障国民基金に登録している患者に求める手続きを行うことを決定した。

国内のガスボンベ充填工場の所有者および投資家の企業連合の代表者であるアントワーヌ・ヤミン氏は、金曜日、国内のガスボンベの価格が730,000 LBP (60,000 LBP/USDの為替レートで12米ドル) を超えたことから、レバノン・ポンドの非常識な切り下げによる工場の強制閉鎖に警戒するよう呼びかけた。

「昨日時点では価格表は60,600 LBP/USDの為替レートに基づくものでしたが、今日の非合法市場では米ドルは64,000 LBP/USDに高騰しています。つまり、昨日の売上はすべて損失になったということです。私たちの資本は日々損なわれています。当局はこの茶番劇を終わらせなければなりません」と、ヤミン氏は言った。

一方、議会内の会派間では、レバノンの新大統領の選出について未だ合意に至っていない。

野党議員たちは、タレク・ビタール判事が逮捕した港湾爆発事故関連の容疑者をガッサン・オワイダット検察官が釈放した後、木曜日に法務省前で行われた同事故の遺族らによる抗議行動に参加し、その後金曜日に会合を開いた。

野党議員たちは声明を発表し、「私たちは、オワイダット検察官のの明らかな違反行為の責任追及の要求を支持します」と述べ、ビタール判事の解任と調査を担当するための別の判事の任命の拒否を発表した、

大統領不在のもたらす危険性についても野党議員たちは警告を発した。議会は大統領選出まで定期的に召集される選挙機関であるとする憲法の条文に繰り返し言及しそれについて彼らが負う責任についても度々述べた。

ビタール判事には、13ヶ月間の休止後業務を再開するために自身が言及した法的調査に多数の司法上の反対意見があるものの、調査を続行するよう期待されている。

来週の質疑応答は、ガジ・ザイター議員と元閣僚のムヘディド・アル・マクヌーク氏によって、2月6日から行われる予定である。

最高司法評議会のメンバーたちとその代表であるスハイル・アブード判事は、ベイルート港の爆発の調査を担当しているビタール判事の今後をめぐって、依然対立したままだ。