
エルサレム:28日、東エルサレムで銃による襲撃事件が発生し2人が負傷した。イスラエルの医療関係者が伝えた。数時間前には、シナゴーグの外で男が銃を乱射し7人が死亡するという、イスラエル人に対する襲撃としては近年で最多の犠牲者を出した事件が発生したばかりだった。
警察は、壁に囲まれたエルサレム旧市街のすぐ外にあるシルワン地区で起こった直近の銃撃事件の後に容疑者を「無力化」したと発表した。
イスラエルの救護団体「マーゲン・ダビド公社」は、犠牲者が47歳と23歳の男性2人であると特定した。2人とも「上半身に銃創があった」という。関与した者については特定していない。
警察は先頃、27日のシナゴーグ襲撃に関連して42人を逮捕したと発表していた。
ユダヤ教の安息日だったこの日、東エルサレムに住む21歳の男がネヴェ・ヤアコフ地区にあるシナゴーグに自動車で乗り付け銃を乱射した。
国際ホロコースト記念日に発生したこの事件は、イスラエル・パレスチナ紛争におけるさらなる劇的なエスカレーションを期すものとなった。
この前日には、ヨルダン川西岸地区における襲撃としては過去約20年で最も多くの犠牲者を出したものの一つとなったイスラエル軍による急襲が行われたうえ、それを受けてガザ地区の過激派組織がロケット弾を発射し、さらにイスラエルによる報復空爆も実施された。
暴力の連鎖の停止を求める声が広がっているが、緊張は高まり続けている。
27日遅く、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がシナゴーグ襲撃現場を視察した際、群衆は「アラブ人に死を」と叫んだ。
ガザ地区およびヨルダン川西岸地区のパレスチナ人も自然発生的に集会を開いてシナゴーグ襲撃を祝った。ラマッラーでは、街頭を埋め尽くした大群衆がスローガンを唱えパレスチナの旗を振った。
エジプト、ヨルダン、UAEなどイスラエルと国交のあるアラブ諸国はシナゴーグ襲撃を非難した。
イスラエルにとって最大の敵の一つであるレバノンの組織ヒズボラは、この襲撃について「英雄的」だと称賛し、「パレスチナの抵抗諸派閥が取るあらゆる行動を絶対的に支持する」と述べた。
シナゴーグ銃乱射の犯人は、襲撃後の短時間のカーチェイスの後、警察との銃撃戦の末に射殺された。
犯人が以前から過激派の活動に関与していたり既存のパレスチナ武装組織のメンバーだったりしたことを示す証拠はない。
警察は声明の中で次のように述べた。「エルサレム地区警察と国境警察の戦闘員は容疑者42人を逮捕した。その一部はテロリストの肉親、親族、(隣人)である」
「警察は、逮捕した各容疑者と襲撃を実行したテロリストとの間の繋がり、および各容疑者の知識や関与の程度について徹底的に調査する」
別の声明では、襲撃を受け警察は「最高レベル」の警戒態勢に置かれたと述べた。
イスラエルは1967年の六日間戦争(第三次中東戦争)の後に東エルサレムを併合した。パレスチナ人はこの領土を将来の国家の首都にすることを求めている。
イスラエル警察のコビ・シャブタイ長官はシナゴーグ襲撃について、「(イスラエルが)近年遭遇した最悪の攻撃の一つ」であると述べた。
26日には、イスラエルがジェニン難民キャンプで「対テロ」作戦とされる急襲を実施し9人を殺害した。
これはヨルダン川西岸地区におけるイスラエル軍による急襲としては2000~2005年の第2次インティファーダ(パレスチナ蜂起)以降で最も多くの犠牲者を出したものの一つとなった。
イスラエルは、「イスラム聖戦」の工作員が標的だったとしている。
イスラム聖戦とハマスは共に報復を宣言し、その後ロケット弾数発をイスラエル領内に向けて発射した。
ロケット弾の大半はイスラエルの防空システムによって撃墜された。イスラエル軍はガザ地区のハマスの標的に対する空爆で応じた。
どちら側でも負傷者は報告されていないが、ガザ地区の武装組織はさらなる行動を起こすことを宣言した。
シナゴーグ襲撃を受け、ハマスのハゼム・カセム報道官は、襲撃はイスラエルの「犯罪」に対する「適切な反応の仕方をレジスタンスが知っていること」を証明したと述べた。
米国政府は26日、アントニー・ブリンケン国務長官が来週イスラエルとパレスチナ自治区を訪問し「暴力の連鎖の終結」に向け働きかけると発表した。
米国務省の報道官は27日、この訪問を正式に発表し、同国務長官は「緊張緩和のために取るべき措置」について協議する予定だと述べた。
AFPが公式データから集計したところによると、2022年にはイスラエルおよびパレスチナ自治区において少なくとも26人のイスラエル人と200人のパレスチナ人が殺害された。その多くはヨルダン川西岸地区での死者だった。
AFP