ラマッラー:イスラエル警察は1日、入植者が占領地ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人で死者を出した暴動に関連して、ついに10人を逮捕した。
今回の逮捕は、数百人もの入植者が車や家に放火してパレスチナ人1人が死亡した2月27日のハワラでの事件の後、3日間も対策がなされず、この地域のイスラエル軍高官による前例のない批判の渦中で行われた。
イスラエル軍中央司令部のイェフダ・フックス元帥は、軍は入植者の攻撃に備えていたが、暴力の激しさに驚いたと述べた。
フックス氏は、今回の暴動は「自分が育った価値観やイスラエル国家の価値観、そしてユダヤ教の価値観に沿わずに行動した」無法者たちが起こした「恥ずべき」事件であると述べた。
「ハワラで起きた事件は無法者によって行われたポグロム(大虐殺)です」と彼は述べた。「何十人もの人々によるこの規模の大虐殺は想定外でした」
ポグロムとは、特定の民族や宗教団体を標的とした組織的な集団暴力行為を指す言葉である。この用語は、19世紀から20世紀初頭にかけて東ヨーロッパで起きたユダヤ人に対する民族的暴徒の襲撃を指すために使われていた。
フックス氏は「今は、パレスチナ自治政府との安全保障上の調整がなされていない時期です。今後、何が起こるか見てみましょう」と述べた。
イスラエル軍の厳重な警備の中、ハワラの店舗は1日も軍の命令により閉鎖されたままだった。
ハワラを訪れたパレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は、逮捕は不十分だと述べた。「我々はこれを、イスラエル政府による組織犯罪であり、入植者が実行したとみている」と彼は述べている。
ハワラのムイーン・アル・ドゥマイディ市長はアラブニュースの取材に対し、シュタイエ氏は状況を把握して被害状況を評価するために訪れたと語った。入植者の攻撃で財産を失った人々は、新しい住宅を含む補償をパレスチナ自治政府に要求している。シュタイエ氏は損失を評価する委員会を立ち上げ、政府ができる限りの支援を行うことを約束した。
「52世帯の家が完全に焼失し、40台の車が放火され、さらに自治体の所有物であるトラック2台とブルドーザー1台が破壊されました」とアル・ドゥマイディ氏は述べている。
また、イスラエル軍は町を5つのセキュリティゾーンに分け、住民がその間を移動することを禁止したと述べた。パレスチナ人と入植者の衝突を防ぐため、軍隊が大通り沿いの屋上に配置された。
人々は恐怖とパニックに襲われ、1日には入植者たちが家を攻撃しようとしたと、アル・ドゥマイディ氏は述べている。「入植者がパレスチナ人を攻撃するのを防ぐことができなかったイスラエル軍の失敗を世界が非難した今、イスラエルは自らの過ちを認めている」
彼はハワラの状況を「ひどく悪い」と表現し、イスラエル軍はフワラを5つのセキュリティゾーンに分け、住民がその間を移動することを禁止したと述べた。住民と入植者の間の摩擦や衝突を防ぐために、町を通る大通り沿いの屋上に軍隊が配置されている。
パレスチナ人は、さらなる攻撃から家や町の財産を守るために、ハワラで寝ずの番をする保護委員会を結成した。その委員会の仕事は住民に攻撃を警告することであり、戦闘を行うことではないとアル・ドゥマイディ氏は述べている。
一方、パレスチナとイスラエルの情報筋は、約3週間後に始まる聖なるラマダンの前に、ヨルダン川西岸でふたたび暴力が再燃するのではないかとの懸念を表明している。
ナブルスの人権活動家アメル・ハムダン氏はアラブニュースの取材に対して、12月末にイスラエルの新右派政権が発足して以来、パレスチナ人に対するイスラエル軍の態度が明らかに変化していることに気付いたと述べた。兵士たちは入植者によるパレスチナ人への攻撃を容認しているという。
そして、「もし軍が行動を起こすつもりなら、入植者が放火行う前に迅速に行動し、毅然とした態度で対処するでしょう」と付け加えた。
ハムダン氏は、今回の入植者による攻撃以来、入植者や道路沿いに点在する軍の検問所の兵士に狙われることを恐れて、ラマッラーへの移動を避けていると述べた。
「私は次の殉教者になりたくはないのです」と彼は付け加えた。
別の動きとしては、イスラエル軍がヨルダン渓谷北部のトゥバス県のフムサにあるベドウィンのコミュニティを襲撃し、家を破壊したと、この地域を担当するモアタズ・ビシャラト氏が述べている。
パレスチナ解放機構のフセイン・アル・シャイフ執行委員長は、イスラエルのクネセト (国会) を通過している、テロ行為で有罪となったパレスチナ人囚人の死刑に関する法案は、「人種差別と植民地思想」に染まったアプローチを反映していると述べた。政府が支持する同法は、1日にイスラエル議会で予備審査を通過した。
アル・シャイフ氏は、裁かれるべき犯罪者は占領する側であり、占領軍の抑圧の下で苦しんでいる人々ではないと述べた。
イタマル・ベングビール公安相の超国家主義的なユダヤ勢力派は、1年以上にわたって暴力の急増が沈静化する兆しが見えない中で、パレスチナ人の攻撃者予備軍を抑止する手段として、死刑法案を推進してきた。
死刑は不道徳であり、ユダヤ教の原則に反しており、抑止力にはならないという批判がある。
提案されている法案は、「人種差別や一般市民への敵に動機づけられた行為として」「イスラエル国家とその土地に住むユダヤ人の復活に害を与えることを目的として」イスラエル人を殺害した者に対して、死刑を認めるというものである。
この法案を提案した、超国家主義的な入植者議員であるリモール・ソン・ハル・メレク氏は、カン公共ラジオの取材に対し、「ユダヤ人を殺害した者が、殺害したのがユダヤ人であるという理由だけで死刑を宣告されるのは、正義でありもっとも道徳的なことです」と述べている。
その法案は予備審査で55対9で可決された。反対派のほとんどは、ネタニヤフ氏の超正統派同盟者の一部とともに、投票に出席していなかった。
(APとともに)