
ベイルート:航空機の着陸地点付近でレバノンの武装集団が空中に発砲する映像により、ベイルート空港の航空機とその乗客の安全への懸念がこの上なく高まっている。
この映像は、月曜日、ベイルート空港の滑走路の内の1本に隣接する首都南郊で発生した抗争の最中に撮影されたものである。
2家族間の口論が暴力的な対決に発展し、対立グループ同士が銃や携行式ロケット弾を用いるに至った。首都にとっては恐怖の一夜となった。
内情に詳しい情報筋は、「飛行機の乗務員は、着陸の最中に銃弾が機体に命中して大惨事になるのではないかと恐怖を感じていました」と、アラブニュースに語った。
国連や平和維持軍である国際連合レバノン暫定駐留軍を含む国際機関や慈善援助組織、さらには、レバノン人のみならず海外渡航するシリア人にとって唯一の国際航路への玄関口であるこの空港の安全性についての懸念が、この事件によりさらに高まった。
2022年11月には、ヨルダン発のミドル・イースト航空の飛行機がベイルート空港に着陸する際に流れ弾に当たった。この便にはレバノンの国会議員であるポーラ・ヤコビアン氏も搭乗していた。乗客や乗務員に負傷者はいなかった。
近隣での葬儀や祝賀会等の際、空港施設に流れ弾が命中することは珍しくない。
ベイルートに拠点を置く調査コンサルタント企業のインフォーメーション・インターナショナルの2021年発表の調査報告には、毎年、レバノンにおいては流れ弾によって7人が死亡し15人が負傷することが示されている。
同報告は、2010年から2021年の間に、銃の乱射によって、81人が死亡し169人が負傷したと述べている。
ベイルート空港周辺の地域では、対立抗争や治安当局による犯罪者の取締りにより、ほぼ毎日銃撃が発生している。
ベイルート空港周辺は、ヒズボラと政党・民兵組織アマルの拠点と見做されており、武器類は当然のように出回っている。
この地域の居住者のほとんどはバールベック=ヘルメル地方の出身で、何百もの貧困世帯を含む住民の中に数多くの指名手配犯が潜伏していると、治安筋は述べている。
月曜夜の銃撃戦後、治安部隊がベイルート全土に展開し、厳重な治安対策が実施された。
アリ・ハミエ公共事業運輸暫定相は、レバノン軍により7人が逮捕されたと述べた。
治安上の取締りの一環として、兵士は依然として空港周辺に展開していると、ハミエ暫定相は語った。
「今回の銃撃事件は不幸な出来事でした。とはいえ、空港の警備と航空の安全を維持することは国家としてのレバノンにとって優先事項です。こうした事案に私たちは寛大な対応を取りません。空港周辺で乱射を行った者は拘束します」と、ハミエ暫定相は述べた。
総合安全保障局の局長代理を務めているエリアス・ベサリ准将は空港で関係者と会合を行い、旅客の安全確保のためには治安当局と行政職員の協力が重要であることを強調した。
一方、レバノン南部のパレスチナ難民キャンプの「アイン・アル・ヒルウァ」では、先週、政党ファタハの過激派とアスバト・アル・アンサールのグループが抗争を行い、ファタハ側のマフムード・ズバイダ氏が死亡し、緊張が高まっている。
アスバト・アル・アンサールは殺人犯のレバノン当局への引き渡しを拒否している。治安筋の情報によると、犯人は姿を隠しており、ファタハ側は難民キャンプ内の支配区域で警戒を強めているという。