
ベイルート:レバノンのナジーブ・ミカティ暫定首相が夏時間の開始を1ヶ月遅らせることを突然決定したことが大きな政治論争に発展しており、同国の深刻な経済危機が後景に退いている。
レバノンの経済状況に関するIMFからの度重なる警告にもかかわらず、国内の議論は、夏時間開始が3月25日から4月21日に延期された問題をめぐる政治論争一色になっている。
夏時間をめぐる論争には宗教や宗派の違いも絡んでいる。イスラム教の聖なる月ラマダンが始まった直後というタイミングであり、断食を行う人々が断食の終わりを予定より1時間早くしなければならなくなったのだ。
レバノンの各機関が25日に取った対応は様々だった。あるメディア機関は「決定に従わず標準時を採用する」と発表した。
ある政治評論家は、この論争は「政治的空白」を反映していると指摘する。「馬鹿げた決定が宗派的に説明されたから」だ。
この論争は「支配的政治階級に対する信頼の喪失と、レバノンの政治行動が陥り得るでたらめさのスケールを示した」という。
夏時間開始延長は、外国と仕事をする機関の間で混乱を引き起こした。特に、毎年自動的に夏時間への調節を行っている国際空港、銀行、携帯電話ネットワークなどで大きな混乱が起こっている。
航空各社は航空便のスケジュール変更を余儀なくされた。大手携帯電話ネットワーク2社は加入者にメールを送り、「画面に表示される時刻がずれないようにするために25日深夜24時までに携帯電話の時刻を手動で調節する」よう要請した。
ミカティ首相による措置はソーシャルメディア上で皮肉をもって迎えられた。ある政治活動家は、「我々は時間浪費共和国に住んでいる」と嘲った。
こんな皮肉も。「レバノンにとってグローバルシステムとのつながりは重要ではないようだ」
「この決定を下した指導者らは国内に自分たち以外の人間がいることを認めていない」と警鐘を鳴らす声もあった。