チュニス:チュニジアのカイス・サイード大統領は、停滞しているIMFの190億ドルの救出パッケージの条件を受け入れないことを明確に表明した。6日、「一方的な指示」は受け入れないと述べ、助成金削減が社会不安につながる可能性を示唆した。
同国は昨年9月に融資についてIMFと事務レベルで合意したが、すでに主な取り組みが滞っている。資金提供者は、合意の際に使用されたデータから国の財政がどんどん乖離していると考えている。
融資がなければ、チュニジアは本格的な国際収支危機に陥る可能性がある。債務の大部分は国内のものだが、今年後半には外国融資の返済期限が迫っており、格付け機関はチュニジアが債務不履行に陥る可能性を指摘している。
融資条件には食料・エネルギー助成金の削減や公務員給与の減額が含まれる。条件の受け入れについて尋ねられた大統領は、「一方的な指示は聞かない」と報道陣に語った。
チュニジアでは、政府がパンの価格を引き上げた後、1983年に暴動が起きて死者が出た。大統領はそれを思い起こしながら、「社会の平和はゲームではない」と述べた。
IMFの融資に代わる方策について尋ねられると、大統領は「チュニジア国民は自力でなんとかしなくてはならない」と答えた。
政権の中からは「IMFとの合意案以外に策はない」との声が聞こえる。
2023年の予算を見ると、政府は助成金の支出を26.4%減らし、88億ディナール(28億9000万ドル)とする計画だ。
だが今年、政府はこれまで燃料価格を引き上げていない。インフレ率が40年間で最高の10.3%に達する中、国民の怒りを避けたいとの思惑がうかがえる。サイード大統領は2021年に権力の大部分を掌握し、議会を閉鎖した。そして新たな政府を樹立し、法令による統治へと移行した。それは、長年の混乱や、政治エリートにまん延していたと自身が考えている汚職を終わらせるために必要な措置だったとサイード氏は主張している。
大統領は、チュニジアの経済問題の原因は汚職にあるとし、外国からの干渉と自身が考えるものを拒絶してきた。
救済を巡るIMFとの話し合いは何か月も停滞しており、特に米国やフランスは、現金を循環させるような広範囲の改革を大統領に求めている。一方イタリアは、財政破綻を防ぐためにヨーロッパが即座に支援すべきだと主張している。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は先月、「チュニジアの財政安定性を確保しなければ、ヨーロッパの海岸には北アフリカから大量の移民が押し寄せることになる」と述べた。
ロイター