
ナジャ・フーサリ
ベイルート:イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相は、レバノンの国会議員らに対し、政治的対立を克服して大統領を選出するよう呼びかけた。しかし、木曜日にレバノン政府関係者と会談した同外相は、レバノンの政治的混乱を解決したいというイランの考えを伝えることはできなかったという。
その代わり、大統領選挙のためにレバノン政党間に合意が必要ならば、イラン政府は支援は惜しまない、と同外相は述べた。
アブドラヒアン外相はレバノン訪問の締めくくりとして金曜日に記者会見を開く予定だ。
同外相のベイルート訪問は、サウジアラビア・イラン間の国交回復の実現など、中東地域の政治的変化があったからこそ実現した。また、今年はレバノンからのシリア軍撤退の18周年にあたる。
「ここ数週間、中東地域の政治は進展を見せています。これは中東にとどまらず、イスラム世界全体、そしてレバノン、すべての利益につながるでしょう」と同外相は述べた。
アブドラヒアン外相は、イランは地域の緊張や危機は常に対話や交渉で解決すべきだと考えており、戦争によってそうした問題が解決するとは考えていない、と述べた。
「我々はスーダンでの武力衝突について懸念しています。我々は特にアフガニスタン、イエメン、ウクライナ、スーダン、リビアなどをより平和にするためには努力を惜しみません」と述べました。
同外相は、レバノンのナビーフ・ビッリー国会議長、ナジーブ・ミカティ首相代行、アブドラ・ベンハビブ外相らと会談した。外相との会談後、アブドラヒアン外相は、「我々は、イランとレバノンの協力について話し合い、あらゆる分野でより密接に協力をする用意があることを確かめました」と述べた。
また、イランはレバノンの全政党に大統領選挙を迅速に行うよう促し、次期大統領選出に向けてあらゆる選挙や合意を支持すると述べた。
同外相はさらに「レバノンの政府関係者、そしてすべての政党は、大統領選出に関して意思決定し、合意できると信じています」とも付け加えた。
レバノンの議員たちは、ヒズボラおよびその同盟国と、ヒズボラに反対する政党の間で分裂している。その結果、6ヶ月間もの間、次期大統領を選出できていない。
ヒズボラはスレイマン・フランジェ候補を大統領に推すことを主張しているが、いくつかの政党や改革派の議員は反対している。
アブドラヒアン外相は、中東諸国訪問の一環として、水曜日にベイルートに到着した。
ラフィク・ハリーリ国際空港で発した声明では、イランはレバノン政府と国民、レバノン軍、レバノンの抵抗勢力を強く支持する立場を強調した。
また、中東地域では新しく、前向きで建設的な変化があるべきだとし、また、「レバノンの安全と進歩が保たれることは中東地域にとっても利益になる」と指摘した。
レバノンのベンハビブ外相は、イランのアブドラヒアン外相との会談の中で、イランから電力分野での支援提供の申し出あったことを明らかにした。
イランは2021年、レバノン政府関係者に対し、18ヶ月の期間でベイルート南部および南部郊外にそれぞれ約1000メガワットを供給する2つの発電所を少ない費用で設置することを提案したという。
レバノンの財政危機の半分は電力問題によるものであり、過去20年間に渡る電力分野における赤字総額は約360億ドルに上る。これは政府総債務の約45パーセントにあたる。
しかし、レバノンは米国がイランに対し制裁を課すことを恐れて、この申し出を受け入れることに消極的だった。
一方、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国、EUの各大使は、レバノンの状況について共同声明を発表し、次のように述べている。 「レバノンが国際通貨基金(IMF)とスタッフレベル協定(SLA)を結んでから、今月で1年になる。」
「この合意では、レバノンの経済回復を支援するために30億ドル以上の支援を約束した。」
「政府は、IMFとの正式な合意にあたって、包括的な構造改革のための施策を事前に、かつ迅速に実施することを約束した。」
「レバノンの政治家たちが、これらの施策に関して少ししか進展を見せていないことは、残念である」
「いくつかの条件は満たされたものの、銀行機密保護法は不十分であることが判明し、金融部門の損失配分に関しても進展がない。レバノン当局はレバノンの主要銀行の監査とレバノンの為替レートの統一に取り組まなければならない。」
「緊急性はこれ以上ないほど明白だ。レバノンは現代史で最悪の経済危機に直面している。」
「レバノンの人々は苦しんでいる。インフレ率は186%に達している。中央銀行の対外準備高は減少の一途をたどっている。」
「IMF自身も、改革を迅速に実施しなければ、レバノンは永遠に危機から脱却することはできないだろう、と述べている。」
「IMFのプログラムの有無にかかわらず、レバノンの回復には決定的な構造改革が必要である。」
「大統領と正式な政府の不在は、改革を完了するための大きな障害の一つである。」
「レバノンの経済危機に対する答えはレバノン国内からしか得られず、それは意味のある改革から始まる。」
「今こそ、レバノン当局は、IMFとの合意によってもたらされる機会をつかむべき時だ。」
「そうでなければ、経済はさらに悪化し、これまで以上に深刻な事態を招くことになる。」
特使の声明は、レバノン通貨の価値が98%以上下落し、金融危機が深刻化する中で発表された。