ハルツーム:サウジアラビアと米国の仲介で1週間の停戦合意が成立し、5週間にわたる紛争が一時停止するとの期待が高まったが、住民らによると、5月21日に首都ハルツームでは空爆や対立勢力の武力衝突の音が聞こえたという。
この停戦合意はサウジアラビアのジェッダでの協議を経て、スーダン軍と敵対する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が20日に署名し、国際的に支援された監視機構のもと現地の22日夜から停戦期間が始まる予定だ。人道支援物資の輸送も可能となる。
4月15日に紛争が始まって以来、度重なる停戦宣言は戦闘を止めるには至らなかった。ジェッダでの今回の協定は、交渉後に双方が停戦合意に署名した初めての例となる。
アナリストによると、スーダン軍最高司令官のアブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍やRSFのモハメド・ハムダン・ダガロ司令官(通称ヘメッティ)が、現地で停戦を強制できるかどうかは不明だという。両者とも以前から紛争での勝利を目指す姿勢を示しており、ジェッダには足を運ばなかった。
スーダン軍とRSFは21日の声明で、戦闘が続いているにもかかわらず、停戦へのコミットメントを再確認した。目撃者によると、21日の朝にハルツーム中心部と南部で散発的な衝突があり、その後の同日中に、ハルツーム東部とオムドゥルマン(首都を構成する3都市の1つ)で空爆と対空砲火があった。
今回の紛争が始まって以来、110万人が家を追われ、スーダン国内や近隣諸国に移住しており、この地域を不安定化させる恐れのある人道危機を生み出している。
ハルツームに残っている人々は、大規模な略奪、医療サービスの崩壊、食糧、燃料、電力、水の供給の減少の中で、生き残るために必死になっている。
ハルツームに住むサファア・イブラヒムさん(35)はロイターの電話取材に対し、今回の停戦合意により紛争が終結することを期待していると語った。
「私たちはこの戦争にうんざりしています。家を追われ、家族はスーダンとエジプトの町に散り散りになっています」とイブラヒムさんは語った。「私たちは普通の生活と安全に戻りたいと思っています。アル・ブルハンとヘメティは、人々の生活への欲求を尊重しなければなりません」
ジェッダ協定の文章によると、各戦争当事者の代表3人、サウジアラビアから3人、米国から3人を含む委員会が停戦を監視することになっている。
『停戦を待っている』
2021年のクーデターで全権を掌握した将軍らが、民政と選挙実施に向けた政治移行に署名する計画をめぐって対立し、ハルツームで紛争が勃発した。
ブルハン氏とヘメティ氏は、2019年の民衆蜂起でオマル・アル・バシール元大統領が追放されて以来、スーダン主権評議会でトップの座を保ってきた。
ジェッダでの協議では、援助の受け入れと必要不可欠なサービスの復旧に焦点が当てられた。調停者は、民間人が関与する恒久的な和平協定を仲介するために、都市部からの部隊の撤収を求めるさらなる協議が必要になるだろうと述べている。
「ハルツームの人々は停戦と人道回廊の開設を待っている」と首都ハルツームの活動家モハメド・ハメド氏は語った。「健康状態は日に日に悪化しています」
国連の発表によると、今回の紛争中に医療施設への攻撃が34件確認されており、5月11日にジェッダで双方が援助物資と民間インフラの保護に関する約束に署名してからも、人道支援物資の略奪と医療施設への攻撃が続いているという。
ヤシール・アル・アッタ陸軍上級大将はスーダン国営テレビに対し、スーダン軍はこれまで住宅、学校、病院からRSFを排除しようとしてきたと語った。
戦闘の初期に住宅地に潜伏したRSF部隊を狙ってスーダン軍が空爆や砲撃を行ったため、身動きが取れずにいる市民が数百万人いる。
一部の部族指導者から民間人の武装を求める声が上がっていることについて聞かれたアッタ氏は、武装は必要ではないが、自宅で攻撃を受けた住民は自衛のために行動できるはずだと述べた。「自分たちを守るために武装するのは当然の権利だ」とアッタ氏は述べた。
紛争が始まって以来、スーダンの他の地域、特に西部のダルフール地方でも混乱が起きている。
世界保健機関(WHO)によると、これまで705人ほどが死亡、少なくとも5,287人が負傷しているが、実際の死者数はもっと多いとみられている。
ロイター