ドバイ:イラクの半自治地域であるクルディスタン地域の政府は26日、クルド人の権利を侵害するイラク連邦予算案の変更への反対を表明した。
クルディスタン地域政府(KRG)による反対は、3年間の予算案を採択しようとしているイラク連邦政府のムハンマド・アル・スダニ首相に挑戦を突きつけている。この予算案は、シーア派・スンニ派・クルド人政党連合の支援を受けて昨年後半に発足した同首相の政府にとって旗艦政策だ。
KRGは、アル・スダニ首相の政府との間で結ばれた合意の外で下されたいかなる決定にも従わないと述べた。合意とは、イラク北部からトルコを経由する石油の輸送を再開するための枠組みを設定するべく両政府間で結ばれた合意を指すものと思われる。
アル・スダニ首相は政権発足前、クルディスタン地域の首都エルビルの政権を支配する有力政党であるクルディスタン民主党との間である合意を結んでいた。3人のKRG関係者によると、この合意にはKRGへの予算移転、および連邦政府とKRGの間の石油収入分配をめぐる長年の論争の終結が含まれていた。
イラク憲法のもとではクルディスタン地域には国家予算の一部を受け取る権限がある。しかし、その取り決めは2014年、クルド人がクルディスタンと独立に原油の販売を開始したことで崩壊した。
2017年、イラク軍は石油資源が豊富な都市キルクークを含む係争地域を再占領した。連邦政府は一部の予算支払いを再開したが、これまでのところ散発的なものに留まっている。
KRGは、国会の財務委員会の委員らによって導入された予算案への変更について、違憲であり、「地域政府と連邦政府の間で結ばれた合意に矛盾している」と述べた。
アル・スダニ内閣は3月、197兆8280億イラクディナール(1356億ドル)の2023年度予算案を承認した。この予算案は承認のために議会に送致される。
ロイター