
エルサレム:ヨルダン川西岸地区で3歳のパレスチナ人の男の子がイスラエル軍に銃撃され、イスラエルの病院に搬送されたが、2日朝の時点で重体になっている。イスラエル軍は意図しない銃撃が起きたとし、調査を開始した。
声明でイスラエル軍は、1日夜にヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地ネベズツフに向け、武装集団による銃撃が始まったと主張した。これに対し、入植地の警備に当たっていた兵士が応戦したという。
しばらくして、イスラエル軍の衛生兵のもとに、パレスチナ人男性と子供が重傷を負ったとの連絡が入った。男性はパレスチナの病院に救急搬送された。男の子はイスラエル軍の衛生兵の蘇生措置を受けた後、イスラエルのシェバ病院に航空輸送された。病院によれば、男の子は重体だという。
イスラエル軍は「武装集団」が入植地に向けて発砲している様子だとする不鮮明な動画を公開。イスラエル軍は武装集団を捜索しているという。
一方でイスラエル軍は、男性と男の子が撃たれた件について調査を行っていると明らかにした。「非戦闘員を傷つけたことを遺憾に思い」、「こうした事件を防止するために全力を」尽くすとしている。
今回の事件は、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムで1年以上にわたってイスラエルとパレスチナ人の衝突が激化している中で起きた。イスラエルで昨年12月に極右政権が発足して以来、戦闘は激化している
AP通信の集計によれば、今年に入り、両地区では120近いパレスチナ人が衝突で命を落とした。その半数近くは武装組織のメンバーだったと見られる。イスラエル軍は、武装組織のメンバーの割合はもっと高いと主張している。だが石を投げているだけの若者や、暴力に関わっていない人々も殺されている。
一方で、両地区におけるイスラエル人を狙ったパレスチナ人による攻撃では、少なくとも21人が死亡している。
イスラエルは1967年の中東戦争で、ヨルダン川西岸西岸と東エルサレム、そしてガザ地区を占領した。パレスチナ人はこれらの地域を未来のパレスチナ国家の領土にしたいと考えている。
ヨルダン川西岸地区と東エルサレムの入植地では現在、約70万人のイスラエル人が暮らしている。国際社会のほとんどは、こうした入植地を違法もしくは和平の妨げになると考えている。
AP