チュニス:北アフリカのチュニジアのカイス・サイード大統領は、サイード氏が呼ぶところの国際通貨基金(IMF)の「絶対的命令」を回避するため、国でもっとも富裕な市民に対し課税することを提案した。
昨年10月に約20億ドル相当の救済プランに関し、大筋で合意を見たものの、IMFとの交渉は最近数か月間、公共団体の再編と生活必需品への補助金の撤廃の要求をめぐり、行き詰っている。
サイード大統領はナジュラ・ブーデン首相との会談中に、現行の補助金制度は富裕層を含むすべてのチュニジア人に恩恵があると指摘したと、大統領府は声明で明らかにした。
サイード大統領はイスラム世界初期のカリフの一人、ウマル・イブン・アル・ハッターブのものとされる言葉を引用して、「富裕層から余分な富を取り上げて貧困層に与える」ことを提案した。
「合理化の名のもとに補助金を廃止する代わりに、その必要がないにもかかわらずこの制度から恩恵を受けている人々への追加税を導入することが可能だろう」とサイード氏は続けた。
サイード氏は、このような仕組みを採用すれば、チュニジアが「海外からの命令」に屈服する必要はないだろうと述べた。
ただし、大統領はこの案の具体的運用方法については明らかにしていない。チュニジアでは、企業の従業員は給与から税を源泉徴収されており、また民間セクターでは多くの人が収入のすべてを申告していない。
IMFは100以上の国有企業の再編のための法制定を求めている。これら国有企業は経済の大部分で市場を独占しており、多くの場合巨額の負債を抱えている。
チュニジアは金融危機の最中にあり、食料などの必需品が慢性的に不足している。
さらに、2021年7月にサイード大統領が行った全面的権力掌握以来、政治的緊張も高まっており、10年以上前に「アラブの春」抵抗運動が誕生したチュニジアでは民主主義システムが揺らいでいる。
AFP