
ワシントンD.C.:ホワイトハウスは9日に、ロシアはイランとの防衛協力を深めていると思われ、ウクライナへの攻撃に使用している自爆攻撃型ドローン数百機をイランから受け取ったと発表した。
ホワイトハウスは、新たに機密解除された情報を示して、ドローンと呼ばれる無人航空機(UAV)はイランで組み立てられ、カスピ海を渡って輸送されたのち、ロシア軍によってウクライナに対して使用されたと発表した。
「ロシアはこの数週間、イラン製ドローンを使ってキーウを攻撃し、ウクライナ国民を恐怖に陥れており、ロシアとイランの軍事的パートナーシップは深まっていると思われる」と、ホワイトハウスのジョン・カービー報道官は声明で述べた。
「ロシアがイランの無人航空機をロシア国内で製造するため、イランと共に取り組んでいることについても懸念している」
カービー氏は、ロシアが来年初めにフル稼働しうるドローン製造工場建設に必要な資材をイランから受け取っているという情報を、米国は得ていると述べた。
「ロシアのアラブガ経済特区にある無人航空機製造工場の建設予定地の衛星画像を公開する」と、同氏は述べた。
米国は以前、ロシアへのドローン供給をめぐって軍需品製造会社のイラン人幹部らに制裁を科している。イランはロシアへドローンを送ったことは認めたものの、送ったのはロシアが2月に侵攻する前だと、過去に述べている。ロシア政府は自軍によるウクライナへのイラン製ドローンの使用を否定している。
カービー氏によると、イランとロシアの間での支援は双方向に行われており、イランはヘリコプターやレーダーを含む数十億ドル相当の軍装備品をロシアに求めている。
「ロシアはイランに対して、ミサイル、電子機器、防空などに関する前例のない防衛協力を提供している」と、同氏は述べている。
「これは、ウクライナ、イランの近隣諸国、国際社会にとって有害な全面的防衛パートナーシップである。我々は、こういった活動をあばき、妨害するために、この事実を公にすることを含め、できる限りの手段を用い続けており、さらなる対策を講ずる用意がある」
カービー氏は、ドローンの移送は国連規則に違反するもので、米国は両国の責任を追及していくと述べた。
英国、フランス、ドイツ、米国、ウクライナは、イラン製ドローンのロシアへの供給はイラン核合意について明記した2015年の国連安保理決議に違反するとしている。
2015年の国連決議のもとで、イランに対する通常兵器の禁輸措置が2020年10月まで実施されていた。
ウクライナと西側諸国は、この決議は2023年10月までのミサイルや関連技術に対する制約を含むもので、ドローンなどの先進的軍事システムの輸出および購入も包括しうると主張している。
米国による告発についてのコメント要請に、イランおよびロシアの国連代表部からただちに返答はなかった。
「ウクライナでの使用を目的としたイランの軍装備品のロシアへの移送に関わる者には、引き続き制裁を科していく」と、カービー氏は述べた。
同氏によると、9日に新たに発出された米国の勧告は「イランの無人航空機プログラムの危険性と、その部品調達のためにイランが用いる不正行為を、各企業と他国政府がよりよく理解できるようにすること」を目的としたものだという。
この勧告では、プロセッサーや制御装置といった電子機器を含む、イランがドローン開発のために求める主要品目が明示されている。
ロイター