
リヤド: スーダンの紛争は、多くの国際開発分野関係者から大きな後退と見られているが、EUのサヘル地域特別代表は、支援者や援助機関は希望を失わず、関与を続ける必要があると考えている。
8日にリヤドで開催された「ISIS打倒のための世界連合閣僚会議」の傍らで、アラブニュースの取材に応じたエマニュエラ・C・デル・レイ氏は、長年独裁を敷いてきたオマル・アル・バシール政権が2019年に崩壊した当初、スーダンが安定し繁栄するという大きな希望があったと述べた。
しかし、2021年10月に軍が暫定政府のトップであったアブダッラー・ハムドゥーク氏を解任し、暫定政府が短命に終わり、今年4月15日にスーダン軍と準軍事組織・即応支援部隊(RSF)の間で武力衝突が突如勃発したことで、当初の希望の光は即座に打ち消された。
「スーダンの危機を非常に悲しく思います。かつては、この国が安定し、繁栄するチャンスがあるのではと心の底から期待していました」とデル・レイ氏は語った。
同氏は、大規模な抗議活動が軍部をアル・バシール氏打倒へと動かした当時について触れつつ、国際社会が反乱を率いたスーダン都市部の若者たちのエネルギーと野心に触発され、彼らの目標達成支援に熱意を持っていたのだと話した。
「その瞬間において大学生たちは…新しい社会のあり方を提示したのです」と同氏は言う。「当時は国際社会からの支持も厚く、指導部にも国に新たなルネッサンスをもたらそうという気概がありました」
スーダンの事実上の指導者アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン氏が率いる正規軍と、同氏のかつての副官で今は離反したモハメド・「ヘメッディ」・ハムダン・ダガロ氏が率いるRSFとの衝突の中、世界がスーダンの変革をあきらめる可能性がある、とデル・レイ氏は述べた。
「特に残念なのは、このことが国際世論に与える影響です。どれだけ多大な労力をつぎ込んでも、築き上げたものを完全に台無しにするような出来事がいつかは必ずを起こると思わせてしまうことです」と同氏は述べた。
「私たちは楽観主義を失わず、国々、特に非常に困難な状況にある国々を支援する必要があるという信念を守らなければなりません」
スーダンからの難民の中で特に弱い立場にある層は女性だ。無法地帯の中で武装した男たちが罰を受けることなく行動できるこの国からは、おびただしい数のハラスメント、暴力、レイプの証言がすでに出ている。
対立する両勢力が女性を標的にしないよう何らかの圧力をかけるためにEUが何をしているのかと問うたところ、デル・レイ氏は、EUがこれまで女性の保護に関して実績を挙げてきたこと、女性器切除の禁止を確実なものとすべく支援を行ってきたことについて言及した。
「もちろん、私たちは多くのことを行っています」と同氏は述べた。「私たちは常に、女性の保護を目的としたプロジェクトに取り組み、資金を提供していますし、私たちのプロジェクトはすべて、スーダンで良い結果を得ています。
たとえば、国際社会の圧力によって、女性器切除が刑事犯罪に指定されたことは、非常に大きな成功でした。
スーダンでの武力衝突が約2か月に始まって以来、安全保障アナリストらは、この紛争がサヘル地域(アフリカ大陸のセネガル、モーリタニア、マリ、ブルキナファソ、アルジェリア、ニジェール、ナイジェリア、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、スーダン、南スーダン、エリトリア、エチオピアの一部を包括する地域)に広がる可能性を懸念している。
連鎖反応としては、軽兵器の拡散、傭兵の関与、そしてより直接的なものとしては、国境を越えた民間人の大規模な移動があり、新たな世界的難民危機を引き起こすことが想定される。
「ISIS打倒のための世界連合」の活動に対するEUの貢献は、大部分がテロ対策と急進化対策のための資金提供という形でもたらされている。
「EUの役割は非常に重要です。EUの加盟27か国はテロ問題に対して一貫性を以って貢献してきました」と同氏は述べる。「私たちは、テロとの闘いに年間5億ユーロを投じています」
「その総額のうち、60%はアフリカとサヘル地域に割かれています。私たちは、アフリカ大陸と世界全体の利益のために、テロリズムに取り組むことに特に関心があります。
私たちは、すべての人々に力の均衡と機会をもたらさない限り、この非常に深刻な現象の解決が不可能であることをよく理解しています」
その一環として、2021年、EUの「安全保障・開発戦略」にサヘル地域の安全保障に関わる新たな「統合ビジョン」が取り入れられた。
「私たちには、あらゆる種類の安全保障上の脅威(それには言うまでもなくテロも含まれます)に対する社会のレジリエンスを強化するために、あらゆるセクターに働きかける必要があります。そして、それは、教育、健康、基本サービスへのアクセスに取り組むことによってのみ可能です」とデル・レイ氏は述べた。
「我々がサヘル諸国に対し健全な福祉システムの構築を支援できれば、それは変化の始まりとなるでしょう。現在、テロリストがもたらしている真の脅威は、すでに多数の犠牲者を出している暴力だけではありません。権力や制度の空白があるからこそ、テロリストは、福祉の代替システムを作り出せるのです。そして、それはまがい物に他なりません。
もちろん、これは最大の難題であり、危険でもあります。テロリストに制圧された領土を取り戻すのは非常に難しいことだからです。領土からは人々が失われます。特に若い人々は、テロリストから少額の報酬とキャリアの約束を得て、リクルートされてしまいます。
若者の多くは疎外感や屈辱に苛まされており、銃を手にすることで強くなったと感じるのです」
サヘル地域の難民と受け入れ国を守るため、EUは人道的プログラムに支援金を寄贈しており、特にチャド(6月5日現在、スーダンから113,332人を受け入れている)に重点を置いているとデル・レイ氏は述べた。
チャドは避難所の提供国としては世界的に水準が低く、すでに以前の危機から逃れてきたスーダン人も避難しているという。
「EUは、特にチャドに対して、人道支援の形で援助を行っています」と同氏は話す。「これは私たちの義務であり、人道支援の形での援助は特に一貫して行ってきました。EUは、世界レベルでも最大の援助国であり、特にサヘル地域に対する援助は世界最大です」
リヤドのGCC総合事務局で7日に終了した「過激思想・過激化への対策に関するGCC-EU会議」は、過激化の原因究明と可能な救済策の決定が主な目的だという。
「私はEUが持つ認識を強調しました。たとえば、アフリカのサヘルのように特定の地域については、テロは実に多面的で、非常に多様なアイデンティティを持つものであり、対テロ戦略を立て直すにはこのことを認識する必要があるという考えを示しました」と同氏は述べた。
「そこで浮かび上がった何より重要な課題は、貧困、教育の遅れ、基本的なサービスへのアクセス欠如など、テロの根本的な原因に取り組む必要があること、社会契約を徹底できる健全な統治システムを構築し、人々が自らのスキル向上に努められるようにすること、若者の雇用を確保し、彼らが過激派にリクルートされる事態を防ぐことです」
デル・レイ氏は、リヤドで開催されたダーイシュに関する閣僚会議は、このテロ組織の進化しつつある戦略を浮き彫りにするとともに、国際社会がこの継続する脅威に立ち向かう方法を明らかにするものであったと述べた。
アルカイダの分派として誕生した過激派組織であるISIS(ダーイシュの別名)は、2014年にイラクとシリアの広大な領土を掌握したが、2019年に連合軍により最後の拠点から追放された。
同グループのメンバーや賛同者は、ヨーロッパで起きた複数の大量殺傷事件にも関与しており、各国政府は治安政策の見直しや移民・難民の審査プロトコルの見直しを迫られた。
「リヤドでの会議は非常に重要な出来事であり、長い間価値あるものであり続けるでしょう」とデル・レイ氏は言う。
「大勢の参加者が得られただけでなく、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン王子・外相と米国のアントニー・ブリンケン国務長官も出席しており、私たちが一丸となって、意欲的に、ダーイシュという脅威を打ち破るために取り組んでいるという事実が示されたのです。
志を同じくする国同士の協力関係を強化することは重要です。なぜなら、それが、この歴史的な瞬間に、テロに対する障壁を築くという急務を果たすための唯一の方法だからです」