
カイロ:国連は、内戦で荒廃したイエメンの沖合に係留されている錆びついたタンカーから110万バレルの原油を別の船に移す作業を開始するための保険を確保した。この原油は大規模な環境破壊を引き起こす恐れがある。
国連開発計画(UNDP)は、破裂や爆発の危険性があるFSOセイファー号の貨物を回収するための長年にわたる努力において、この保険は「極めて重要なマイルストーン」であると述べた。
UNDPは「史上最大級の世界的人災」になりかねないとして、引き揚げ作業を開始しようとしている。UNDPはこの作戦のために数千万ドルを確保し、5月下旬、専門家らが不活性ガスを注入してタンカーの油室から大気中の酸素を除去する作業を開始した。
「保険はこの引き揚げ作業を進める上で非常に重要な要素になった。保険がなければ、この作戦を進めることはできなかった」とUNDPのアヒム・シュタイナー事務局長は述べた。
デビッド・グレスリー国連イエメン人道調整官によると、貯蔵されている原油の移送は今月中に開始される予定。原油の移送を終えたセイファー号は、最終的には曳航され、スクラップされることになると同氏は述べた。
グレスリー氏は12日にハーグで開催されたイエメン国際フォーラムで、「作業は順調に進んでいる」と述べた。
このタンカーは1980年に日本で建造され、アラビア半島の国土東部にあるマアリブ県の油田からくみ上げた最大300万バレルの原油を貯蔵するため、イエメン政府によって1980年代に購入された。
アラブ世界で最も貧しい国であるイエメンは、2014年以来、内戦に巻き込まれている。この年、イランの支援を受けたフーシ派民兵が首都サヌアと同国北部の大部分を占領し、政府は南部への退避を余儀なくされた。
翌年にはサウジ主導の連合軍が参戦してフーシ派と戦い、国際的に認められた政府の復権を目指した。
セイファー号は全長360メートル(1,181フィート)で、34基の貯蔵タンクを備えている。2015年からメンテナンスが行われておらず、近年はエンジンルームに海水が入り込み、配管が損傷して沈没の危険性が高まっている。
タンカーの一部は錆で覆われ、タンク内に引火性ガスが集まるのを防ぐ不活性ガスが漏れている。
AP