ラマッラー:占領下のヨルダン川西岸地区の4つのパレスチナ人の村の住民たちは、2005年に立ち退いた入植地の再建のために数十人のイスラエル人入植者が戻って来たことに怯えながら暮らしている。
ナブルス県とジェニン県を結ぶ道路沿いの前哨地であるホメシュでは、イスラエル人の入植者が土地を開拓し、移動住宅を設置し、宗教学校を建設している。
入植者たちの支援のために、イスラエル軍は車両や徒歩によるパトロールを強化し、幹線道路にコンクリートブロックを設置し、軍事監視塔を建設している。
現地情報では、入植者らはパレスチナ人の作物を荒らし、イスラエル軍部隊は、入植地での作業が行われている間、パレスチナ人の農業従事者らを拘束していたという。
3月にイスラエル政府が占領下のヨルダン川西岸地区北部の違法入植地4ヶ所での再定住を承認する決定を下したことを受け、この再建作業が行われた。
パレスチナ側は、ヨルダン川西岸地区北部の奥まった位置にあるホメシュの入植地再建は、将来のパレスチナ国家樹立計画への深刻な打撃になると考えている。
ホメシュ近くのブルカ村出身のパレスチナ人活動家であるサイード・アブドゥル・ラヒム氏は、バスやハウストレーラーその他の大型車両が建設資材の運搬に使用され、入植地周辺は軍や警備員によって守りを固められた兵舎のようになりつつあると語った。
ホメシュは、2005年の「撤退」計画の一部として立ち退きが行われた4ヶ所の入植地の内の1つである。
イスラエルの情報筋によると、イスラエル政府はヨルダン川西岸地区で50万人の新規入植者を吸収し、入植地と入植前哨地のインフラを改善する計画を立てている。
ブルカ村の住民でパレスチナ大統領府において入植関連書類を担当しているガッサン・ダグラス氏は、建設中の入植地の名称を「ホメシュ・アルクブラ」とする計画を入植者らが立てていることから、今回の情勢は大惨事だとアラブニュースに語った。
入植者は最近数日間で少なくとも30軒の住居を設置しインフラ建設を開始したと、ダグラス氏は述べた。
ホメシュ入植地の復旧は、ブルカやワシラ・アルザール、バザリヤ、セバスティアその他の近隣の村や町に居住する少なくとも34,000人のパレスチナ人に影響を及ぼすことになると、ダグラス氏は付け加えた。
ダグラス氏は、ホメシュに戻って来た入植者たちはイスラエルの極右政権による政治的な庇護を受けており、この政権は「入植地の強化とさらなる土地侵奪だけを考えているのです」と語った。
しかし、ダグラス氏は、「私たちは、この計画が頓挫するまで、民間人による抵抗を続け、彼らの工程を妨げ続けるつもりです」と付け加えた。
ホメシュへの入植とは、「周辺地域における検問所の増加とパレスチナ人に対する規制、派遣される兵士の増加と彼らによる地域の基地化を意味しています。暴力衝突が発生し得る状況になりつつあります」と、ダグラス氏は語った。
パレスチナ政府閣僚のマジディ・アルサレハ氏は、土曜日のブルカ訪問中に、メディア報道に満足せずに実質的な支援を行うよう同村の代表者たちから要請された。
1,400人のアクティブ・メンバーを有するWhatsAppグループを若者らが作成し入植者や軍による攻撃があった場合に警告を拡散できるようにしたことを受けて、イスラエルの情報局員たちが活動家らに落ち着くよう呼びかけていたと、住民の1人がアラブニュースに語った。
パレスチナ大統領府は、パレスチナの地に建設された入植地はホメシュも含めてすべて違法であると述べ、入植者が戻ることを許可した決定を非難した。
この動きは、イスラエル政権の監督と支援の下での、占領下のヨルダン川西岸地区の「静かな併合」の一環だと、パレスチナ大統領府は付け加えた。
イスラエルの左翼系団体「ピース・ナウ」は、ホメシュの入植地再建は国際法にもイスラエルの対米誓約にも反していると述べている。
イスラエルは、ジョージ・ブッシュ大統領政権との間で、2005年の撤退計画で立ち退いた地域に新規の入植地を建設しないという協定に調印している。
ピース・ナウはそのウェブサイトで、ヨルダン川西岸地区の132の入植地と146ヶ所の非公式な入植前哨地に居住している入植者数は46万5,000人以上に上ることを明らかにしている。
これらの数値には、東エルサレム地区の14ヶ所の入植地で居住する23万人の入植者は含まれていないと、同ウェブサイトは付け加えている。
イスラエル政府は国益のためであればパレスチナの私有地を没収してでも入植地建設を進めるであろうと、ピース・ナウは警告している。
ホメシュ入植地は、元々、イスラエル軍の基地として、ブルカ村とシラット・アル ダール村の近隣のパレスチナ人所有の土地に1978年に建設された。
1980年に、ヨルダン川西岸地区の他のいくつかの入植地の事例と同様に、イスラエル軍がこの基地を入植者に譲渡した。
ブルカ村議会のジヤド・アブ・オマル議長は、ホメシュへの再入植は「ブルカ村や他の周辺村落の破滅」を意味すると述べた。