ロンドン:2023年版の世界平和度指数で、世界で最も平和でない国10カ国のうち5カ国がアラブ諸国となった。しかし中東・北アフリカ地域は、安全保障と平和の項目において最大級の改善を見せた。
全163カ国中、イエメン、シリア、ソマリア、スーダン、イラクがそれぞれ162位、161位、156位、155位、154位となった。
しかしカタール、クウェート、オマーン、ヨルダンは平和という点で「高い」得点を獲得し、それぞれ21位、35位、48位、62位に入った。上位3カ国には、アイスランド、デンマーク、アイルランドが選出された。
今回で17回目となった世界平和度指数は経済平和研究所(IEP)がとりまとめている指標で、世界をリードする国際的な平和評価とされている。
このランキングは、世界人口の99.7%を対象に、平和、紛争、経済安全保障指標のデータ分析に基づいて決定される。
2023年の世界平和度指数全体で見ると、ウクライナ戦争を要因とする不安定化の増大や、紛争関連の死者数が96%増加したこともあり、世界の平和度はこの15年で13回目の悪化となった。
国別で見ると、世界で最も平和度が向上したのは2年連続でリビアとなり、ブルンジ、オマーン、コートジボワール、アフガニスタンが続いた。
世界平和度指数は、現在進行中の紛争、安全と治安、軍事化の3つの主要項目のスコアを合計して算出される。
中東・北アフリカ地域は戦争の目覚ましい減少によって「現在進行中の紛争」と「軍事化」の項目が大きく改善した。
「テロの影響」、「国内紛争」、「国内紛争による死者数」も、同地域では改善が見られた。
イスラエルは「中東・北アフリカ地域において平和度が最も悪化し、世界平和度指数では8位から143位に順位を下げた」と同報告はまとめており、同国の総合的な平和度がこれほど低下したのは2010年以来だと続けている。
カタールは、2008年以来維持している同地域で最も平和な国としての立場を守る形となった。
イエメンは内戦の影響から、3年連続でアラブ諸国において最も平和でない国となった。
オマーンは、兵器の輸入や軍事費を含む「軍事化」の項目が世界平和度指数において評価され、1年でランキングを18上げて48位に入った。
世界平和度指数は、テロのトレンドが中東・北アフリカ地域から大きく離れたことを強調した。同地域では、2015年までテロによる死者が最も多かった。
「この8年でテロ発生の中心地は南アジアおよび中東・北アフリカ地域を離れ、サハラ以南、特にサヘル地域へと移った」と同報告には述べられている。
2023年版の世界平和度指数のアラブ諸国の全ランキングは以下のとおりだ。カタール(21)、クウェート(35)、オマーン(48)、ヨルダン(62)、UAE(75)、チュニジア(81)、モロッコ(84)、アルジェリア(96)、バーレーン(108)、ジブチ(112)、モーリタニア(114)、サウジアラビア(119)、エジプト(121)、パレスチナ(134)、レバノン(135)、リビア(137)、イラク(154)、スーダン(155)、ソマリア(156)、シリア(161)、イエメン(162)。