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NATO加盟諸国はウクライナに安全保障を提供、バイデン米大統領は「貪欲な」プーチンを非難

ウクライナ支援の共同宣言の発表を終えて退場する英、独、仏、日、米、ウクライナ、カナダの首脳たち。(AP)
ウクライナ支援の共同宣言の発表を終えて退場する英、独、仏、日、米、ウクライナ、カナダの首脳たち。(AP)
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13 Jul 2023 02:07:23 GMT9
13 Jul 2023 02:07:23 GMT9
  • G7共同宣言は、ウクライナの軍事力強化の長期的支援のための協定を各国が協議するにあたっての基盤を構築するものである

水曜日、ウクライナがロシアに対峙するための新たな安全保障の言質を米国とその同盟国から得た。NATO首脳会議の終わりに、ジョー・バイデン米大統領は、「領土と権力に貪欲」であるとしてウラジミール・プーチン露大統領を非難した。

世界最強の軍事ブロックNATOの加盟諸国は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が同国のNATO加盟への招待や加盟に至る日程の提示の拒否を「馬鹿げている」と非難した翌日、長期的な保護の見通しを提案した。

ウクライナは、2022年2月にロシアの侵攻を受けて数万人が死亡し数百万人が退避する状況下で苦闘しながら、NATOへの迅速な加盟を目指して尽力し続けてきた。

その代わりとして、世界の先進7ヶ国で構成されるG7グループによる宣言は、軍事的・資金的支援や諜報・情報の共有、ロシアが再侵攻した際の即時対応を行うための二国間交渉の枠組みを提供する。

「私たちの支援は将来に向けて長く続くことになります。これは、ウクライナに対する私たちの責任を示す力のこもった意思表示なのです」と、ゼレンスキー大統領やG7首脳らと並んだバイデン米大統領は述べた。G7は、米、英、加、仏、独、伊、日で構成されている。

ロシア近くに位置するリトアニアのビルニュスでの2日間にわたる会合の終わりに、バイデン米大統領は、プーチン露大統領が米国主導の軍事同盟の決意をひどく過小評価していると語った。

「NATOは、その歴史上これまでにないほどに強力で、活気にあふれ、そう、団結しているのです。本当に、私たちが共有する将来にとって、より不可欠なものになっています。偶然このようになったのではありません。こうなることは不可避だったのです」と、バイデン米大統領は語った。

「領土と権力に貪欲なプーチン氏がウクライナに残忍な侵攻を行った時、彼はNATOが分裂すると予想していたのでしょう… しかし、プーチン氏の考えは間違っていました」

ゼレンスキー大統領は、NATO加盟への日程が示されなかった失望感に耐えながらも、NATOの「ウクライナへの実際的で前例の無い支援」を賞賛し、今回の首脳会談においてウクライナが「NATO加盟の曖昧さの全く無い明確化」に到達したと述べた。

「安全保障環境さえ安定すればウクライナはNATOに加盟できるのだと私は確信しています。簡単に言えば、戦争終結と共にウクライナはNATOに招かれ、公式にこの同盟の一員となるということです。私は、これ以外に状況の解釈があり得るとは思いません」と、ゼレンスキー大統領はツイッターに投稿した。

ゼレンスキー大統領との会合において、バイデン米大統領は、ウクライナのニーズに応えるために可能なことは全て行っていることを明言し、支援の規模と即時性にゼレンスキー大統領が不満を抱いていることに理解を示した。

「ウクライナ国民の苦境を克服する力と決意は、全世界にとって模範になっています」と、バイデン米大統領は述べた。「ウクライナのNATOへの正式加盟を祝賀する会合が開かれる日を楽しみにしています」

「貴方にとっての困ったニュースは、私たちがどこにも行ってしまわないことです。貴方は私たちから逃げ出せないというわけです」と、バイデン米大統領は冗談を言い、ゼレンスキー大統領の笑いを誘った。

米国のジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、バイデン大統領はゼレンスキー大統領との会談時には長距離ミサイル関連の事柄について協議することになるだろうと述べていた。

その後、バイデン大統領は記者らに対して、首脳会談での確約が堅持される限り「現在NATOに加盟しているか否かは関係無いということをゼレンスキー大統領は理解しています」と述べた。「ゼレンスキー大統領は、NATOへの加盟について気にはしていません」

ゼレンスキー大統領は、ウクライナが受けた数十億ドル相当の援助についての「全米国民」への謝意をバイデン大統領に伝えた。

ベン・ウォレス英国防相は、ウクライナに対して、支援を行っている諸外国は「ネット通販のアマゾンではない」と語り、欧米の政治家に一層の援助を提供するよう説得するためにはウクライナ政権は国外からの武器供与に謝意を示す必要があると述べた。

ゼレンスキー大統領は、「私たちは常に英国に、そして英国首相と国防相に感謝しています。私たちをずっと支えて下さっている方たちなのですから」と述べた。

英、仏、独、米は、戦闘機や訓練、諜報・情報の共有、サイバー防衛などの最新鋭の軍事装備を含んだ広範な国際支援の枠組みについて、数週間にわたって、ウクライナ政権と交渉している。

ウクライナは、そうした支援と引換に、司法や経済の改革と、透明性の改善といった、ガバナンスの向上を誓約することになる。

水曜日には、ウクライナ政府と加盟31ヶ国から成るNATOの協力関係の強化を企図した枠組みであるNATO・ウクライナ理事会の初会合も開催された。

「潜在的に非常に危険」

NATOは、一国に対しての攻撃は全ての加盟国に対する攻撃であるとする相互安全保障を基本としている。そして、NATOは、ロシアとの全面戦争を引き起こしかねない危険性を懸念し、ウクライナへの断固とした軍事的コミットメントを拡大することを注意深く避けてきた。

ウクライナが旧ソ連時代の核兵器を放棄することと引換に国際的な大国がウクライナの安全を保証するいわゆるブダペスト覚書がロシアの侵攻によって既に反故となってしまったことから、ウクライナ政府は拘束力の弱い安全保障の「請け合い」に対して慎重である。

ゼレンスキー大統領と並び立ったNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、同大統領に先立って演説し、ウクライナは以前にも増してNATOに近づいていると語り、ウクライナ支援の影響についてのロシアからの警告を払いのけた。

英国のリシ・スナク首相は、ウクライナの安全保障協定はNATOの正規加盟の代替となるものではないと言明し、首脳会談での誓約はウクライナ政府に対する欧米諸国の支援の高まりを示すものなのだと述べた。

NATOの東方への拡大が自国の安全保障の根幹に関わる脅威であるとするロシアは、即座に反発した。

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、欧米諸国がウクライナに安全保障を提供することは「潜在的に非常に危険」であると述べた。

ロシア外務省は、この首脳会談が「冷戦時代の図式」へのNATOの回帰を示しており、「我々に可能なあらゆる手段と方法で適時に適切に」対応すると述べた。

ロイター

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