
バグダッド:デンマークの首都コペンハーゲンのイラク大使館前でウルトラナショナリズム団体がコーランを燃やしたとの報道を受け、22日土曜未明、数百人のデモ隊がバグダッド市内のグリーンゾーン内への侵入を試みた。グリーンゾーンは外国大使館やイラク政府が拠点を構えており、厳重な警備体制が敷かれているエリアだ。
治安部隊がグリーンゾーンへと繋がるジュムリヤ橋を封鎖してデモ隊の動きを阻止し、デンマーク大使館への襲撃は未遂に終わった。
今回のデモの2日前には、スウェーデンでイスラム教の聖典コーランを燃やす計画があったことに抗議する人々がバグダッドのスウェーデン大使館を襲撃する事件が起きたばかりだ。デモ隊は、イラクの有力なシーア派指導者かつ政治指導者であるムクタダ・アル・サドル師の旗やプラカードを掲げながら数時間にわたってスウェーデン大使館を占拠し、建物の一部に放火した。
スウェーデン大使館の職員は前日に避難しており無事だった。
襲撃の数時間後、コーランを冒涜したとして、イラク首相はスウェーデンとの外交関係を断絶した。
あるイラク人の亡命希望者が、先月ストックホルムで行われたデモの最中にコーランのコピーを燃やし、20日木曜にも再度コーランを燃やすと警告していた。最終的に燃やすまでには至らなかったが、コーランを踏む蹴るなどの行為に及んだ。さらに、イラクの国旗や、サドル師の写真、イランの最高指導者アリー・ハメネイ師の写真に対しても同様の行為を行った。
21日金曜の午後には、イラクやイスラム教徒が多数を占める国々で数千人の人々が平和的なデモ活動を行った。
また、デンマークメディアの報道によると、同21日、ウルトラナショナリズム団体「Danske Patrioter」のメンバーがコペンハーゲンのイラク大使館前でコーランのコピーとイラク国旗を燃やし、その様子をフェイスブックで生配信した。
この一件が引き金となり、バグダッドでは一夜にして抗議の声が巻き起こった。数百人のデモ隊は、サドル師を支持する声を上げ、サドル師の写真やサドル師が主導する運動を表す旗、イラク国旗を掲げながら、グリーンゾーン内への侵入を試みた。その後治安部隊との衝突になり、デモ隊は解散した。
イラク外務省は22日土曜に声明を発表し、「デンマークのイラク大使館前でイスラム教の聖典コーランとイラク共和国の国旗が冒涜された事件を強い言葉で繰り返し非難」した。
同声明は国際社会へ向けて、「世界中の社会平和と共存の脅威となるこうした非道な行いに対して、責任ある立場を速やかに取る」よう求めた。
バグダッドでは午後6時から新たな抗議活動が行われる予定。
AP