
ロンドン:イギリス政府は1日、ダーイシュがイラクのヤジディ教徒に対して行った残虐行為はジェノサイド行為であると正式に宣言した。
イギリス外務省は、同国政府による今回の正式認定は、最近のドイツ連邦裁判所による、ダーイシュの元メンバー1人をジェノサイドおよび人道に対する罪で有罪とした画期的な判決を受けたものだと述べた。
イギリスは今回の件以外に、これまで4件をジェノサイドとして正式認定している。ホロコースト、1970年代のカンボジアにおけるクメール・ルージュの行為、1994年のルワンダにおける民族大量虐殺、そして1995年のボスニアの町スレブレニツァとその近郊における虐殺である。
イギリスのタリク・アフマド国務相(中東・北アフリカ・南アジア・国連担当)は、「9年前、ヤジディ教徒はダーイシュの手によって非常に苦しめられ、その影響は今日まで続いている」と述べた。「人生をめちゃくちゃにされた人々のために、正義と説明責任が果たされることが重要だ」
1日の決定は、過激派組織ダーイシュが異端と見なす少数派ヤジディ教徒に対する残虐行為を開始してから9年が経過したことを記念するバグダッドでの行事に先立って発表された。
ダーイシュは2014年に占領したシリアとイラクの広大な領土において自称「カリフ国」の樹立を宣言した。さらにその年、シンジャル山麓のヤジディ教徒コミュニティーを襲撃し、数百人を殺害、数千人(半数以上が女性や女児)を拉致した。
ドイツのフランクフルトの地方裁判所は2021年、奴隷として購入した5歳のヤジディ教徒の女児を炎天下に鎖でつないで死亡させた罪で、タハ・アル・Jなる人物(プライバシー規則によりフルネームは非公開)に終身刑を言い渡した。
ドイツ連邦裁判所は1月、この判決を支持し、被告の上訴を棄却した。これは、ダーイシュのメンバーがジェノサイドで有罪確定となった初めてのケースとなった。
他に国連や欧州議会なども、ダーイシュによるヤジディ教徒襲撃はジェノサイドであると宣言している。
AP