
国際連合:今年、イスラエル・パレスチナ紛争によって現在までに200人以上のパレスチナ人と30人近くのイスラエル人が死亡しており、中東国連特使は8月21日月曜日、すでに昨年の年間発生件数を上回り、2005年以降最多人数であると述べた。
国連安全保障理事会においてトル・ウェネスランド特使は、暴力の増加は、パレスチナ人が依然として独立国家を求める中、将来への絶望感の高まりが原因であると述べた。
同特使は、「紛争の原動力となっている核心問題に対処する政治的な展望に向けた進展がないために、危険かつ不安定な空白が残り、双方の過激派がその空隙を埋めています」と述べた。
イスラエルおよびパレスチナは状況の安定に向けて複数の行動を起こしているが、一方的措置が敵対関係を煽り続けているとウェネスランド特使は指摘する。
同特使は、国際法上違法であり「和平への実質的な障害」であるイスラエル入植地の拡大が止まらないこと、イスラエルによるパレスチナ人家屋の取り壊し、パレスチナ行政・警察管理下にあるヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの活動、およびイスラエル入植者による攻撃について指摘した。彼はまた「パレスチナ過激派の活動」にも言及した。
同特使は、現在の状況は、パレスチナ自治政府の財政状況の「脆弱さ」と、国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)を含む国連機関が直面している深刻な資金不足によってさらに悪化していると述べた。
特使は、「我々は緊急に最も重要な問題に対処するとともに現地の状況緩和に集中しなければなりません。他方、政治的展望を回復する必要性を無視することはできません」と述べた。
委員会において議長を務めたリンダ・トーマス=グリーンフィールド駐日米国大使は、双方の暴力を非難し、高まってゆく暴力を軽減するための早急な措置の必要性を呼びかけた。
米国大使は、二国家解決と当事者間の「誠意ある対話」に対する米国の支持を再確認した。また、サウジアラビアがヨルダン大使をエルサレムの非居住大使に任命されたことを確認し、米国は「二国家解決に向けたあらゆる努力」を支援すると付け加えた。
ロシアのドミトリー・ポリアンスキー国連副大使は、和平プロセスが長期的に停滞していることについて、「イスラエルが現在も違法に行っている一方的行動によって、不可逆的な事態が現地に生じ、これによって直接対話に向けた展望が台無しにされています」と述べた。同副大使は、イスラエルが「前例のない速度」で入植地を拡大させていることを最大の脅威と呼んだ。
ポリアンスキー副大使は、年内に予定されているアントニオ・グテーレス国連事務総長の同地域訪問を「非常に時宜を得ています」と評価した。そして、いわゆる中東カルテット、すなわち国連、米国、欧州連合およびロシアの調停者ら四ヶ国による会合を、「和平プロセスを復活させ、最終的な状態に関するあらゆる問題についてパレスチナとイスラエルの直接協議を行う」ために開催するよう改めて呼びかけた。
フランスのイシス・ジャロー・ダルノー政治調整官はまた、「イスラエルによるパレスチナ領土の植民地化」や、8月17日にヨルダン川西岸ラマッラー地区で起きたフランスを含む欧州からの資金提供を受けた学校の破壊を含む、イスラエルによる継続的な破壊行為を非難した。また、イスラエル人に対する暴力をも非難した。
ダルノー政治調整官は、は理事会に対し、「信頼できる政治的展望」を取り戻すために、国連と地域の当事者は重要な役割を果たすべきであると述べた。
同政治調整官は、「イスラエルと同地域の数カ国との関係正常化によって、安定化と安全保障がもたらされますが、パレスチナ人とイスラエル人双方の正当な願望を満たす解決策に向けた政治的道程が再開しない限り、このダイナミズムは不完全なままでしょう」と語った。
AP