モロッコ、マラケシュ:モロッコ国王は12日、大地震による犠牲者の確認が進む中、被災に苦しむ国民との連帯を示し、震源地からそう遠くない病院を訪れて負傷者を見舞い、自らの袖をまくり上げて王室の血を寄付するなどした。
モハメッド6世国王は、マラケシュ市内にある自らの名を冠した病院を視察し、8日夜の大地震で負傷した人々に対する回復サービスやケア、生存者の状況などについて尋ねたと、国営マグレブ・アラブ通信が伝えた。
通常、特別な機会にしか公に姿を見せない国王だが、患者らの枕元に赴き、少年の上にかがみこんで頭にキスをしたり、老年男性の横に付き添ったりする姿などを収めた写真が公開された。
驚くことに、眼鏡をかけた国王が椅子にもたれ、上着を脱いでサスペンダーを身に着けた状態となり、シャツの袖をまくり上げて献血のために腕を差し出す様子も見られた。
献血は国民の連帯を示す証となっており、マラケシュやその他の都市では、負傷者のために献血をしようとする人々が列をなしている。
アトラス山脈を震源とするこの地震では、2,900人以上の死者と2,000人以上の負傷者を出したが、その多くは山間部の町や村に暮らす人々だった。12日の時点で、負傷者のうち240人以上がマラケシュ地域の病院で治療を受けていた。
この地震はまた、ユネスコ世界遺産に登録されている、12世紀に建設されたマラケシュの旧市街を囲む壁の一部にも被害を及ぼした。公開されている動画では、マラケシュで最も有名な史跡の1つである、クトゥビーヤ・モスクの一部から粉塵が立ち上る様子が確認できる。この都市は、国王が王宮の1つを構えている場所でもある。
AP