サウジアラビアの第93回目の建国記念日という喜ばしい機会に際し、サルマン国王陛下、ムハンマド皇太子殿下、そしてサウジアラビアの人々に心から御祝い申し上げます。現在の王国を建設した初代アブドルアジーズ国王に敬愛の意を表し、サウード王家のリーダーシップの下、類い希なる改革を推し進めている人々の貢献に敬意を表すこの良き日に、日本とサウジアラビアの友好と親愛の絆について語ることは誠に光栄であり、この機会を与えてくださったアラブニュースに感謝申し上げます。
コロナ禍を乗り越えて、日本とサウジアラビアの要人往来は活発化しています。本年7月には岸田総理が就任後初めてサウジアラビアを訪れてムハンマド皇太子と首脳会談を行いました。今月、両首脳はインドで開かれたG20サミットの折りにも懇談し、緊密な関係を築いています。また、8月からハーリド国防大臣、ルマイヤン公共投資基金(PIF)総裁が相次いで訪日しました。9月7日には、林外務大臣(当時)がリヤドでファイサル外相と日・サウジアラビア外相級戦略対話を行う等、数ヶ月間で両国間のハイレベルの相互訪問が次々に実現しています。
岸田総理は、ムハンマド皇太子殿下との会談において、ビジョン2030への揺るぎない日本の支援を改めて表明し、2017年に立ち上がった日・サウジ・ビジョン2030の枠組みにおいて幅広い分野での協力をより一層進展させていくことを確認いたしました。こうした対面での話し合いを通じて、両国間の協力は加速度的に発展しており、日サウジアラビア外相級戦略対話の設立や日本と湾岸協力理事会(GCC)との間のFTA交渉の再開等、具体的な取り組みも進んでいます。
経済分野では、日本とサウジアラビアの双方が目指す脱炭素化に向けて、重要鉱物の探査や精製、太陽光発電の整備、水素・アンモニアの製造・利用、e-fuel の活用といった分野で、両国の強みを生かす連携を進めるべく協力案件が検討されています。来月には第7回未来投資イニシアティブ(FII)の開催が予定されており、多くの日本のビジネスマンが参加しサウジアラビアの投資機会に関心を寄せることを期待しています。
新たなエンターテイメントの世界が広がることに当地の人々と一緒に胸を躍らせています。
岩井文男
視点を変えると、スポーツや文化面でもサウジアラビアの活力は増すばかりです。サッカーでは世界的プレーヤーが続々とサウジアラビアのクラブチームに加入し、12月にはFIFAクラブワールドカップの開催が予定される等、非常な盛り上がりを見せています。また、10月には、柔道や剣道といった日本武道を含むワールド・コンバット・ゲームズがリヤドで開催予定であり、日本人選手の活躍を期待しています。
その他、ゴルフ、カーレース、Eスポーツ等、サウジのスポーツ界はイベントが目白押しです。また、つい最近、トゥルキ・アル・シェイク娯楽庁長官が今年のリヤドシーズンのスローガン「Big Time!」をコンセプト映像とともに発表した動画を見て、サウジアラビアの新たなエンターテイメントの世界が広がることに当地の人々と一緒に胸を躍らせています。
こうした両国間の要人往来やサウジアラビア国内の活発な活動に伴って、両国国民間の往来がますます盛んになることを望んでいます。
本年3月以降導入された観光を目的とする短期滞在査証のオンラインによる申請及び支払いにより、日本への査証申請件数は急増し、日本に渡航されるサウジアラビアの方々が増えています。この点では、7月に両国の観光当局が観光分野における協力に関する覚書に署名し、これにより双方の観光事業がより活発になることが期待されています。
日本に多数の見所があるように、サウジアラビアにも数多くの自然や文化遺産があり、歴史文化の背景は異なれど日本とサウジアラビアでは客人へのおもてなし等で相通じるところがあると思います。より多くの両国国民が互いの国を訪れ、相互理解が深まることを楽しみにしています。そして、2025年の国交樹立70周年に向けて、両国の絆がますます強く、太くなっていくことを願ってやみません。
重ねて、建国記念日おめでとうございます。