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ガザにおける非人道的行為に対し、私たちは自らの人間性を呼び覚まさなければならない

ガザ地区南部、イスラエル軍の空爆現場に集まるパレスチナ人を見つめる子どもたち。(ロイター)
ガザ地区南部、イスラエル軍の空爆現場に集まるパレスチナ人を見つめる子どもたち。(ロイター)
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13 Nov 2023 05:11:13 GMT9
13 Nov 2023 05:11:13 GMT9

ガザのパレスチナ人が直面している想像を絶する恐怖の中で、特に注目すべきは妊娠中の5万人以上の女性についてだろう。

その多くは、数週間にわたる食料不足のためにやせ細り、赤ん坊のために母乳を出すことができない。国連の児童機関ユニセフは、1日180人の女性が十分なケアを受けられずに出産していると推定しており、そのなかには鎮痛剤なしで帝王切開を受けたり、出産後数時間以内に出血したまま退院させられたりするなどのケースも含まれる。新生児集中治療室では、救命のための保育器に電気が供給されず、何十人もの赤ちゃんが死のリスクに直面している。

病院が最も必要とされているこの時期に、ガザにある35の病院の約半数が破壊され、または機能を停止しており、残りの病院も設備や電力の不足に直面している。病院までもが爆撃され、医師や患者が巻き添えになるような状況は、地獄の底に足を踏み入れたようなものだ。イスラエルは、包囲下にあるアル・シファ病院を戦場に変えたとして非難されている。自分の家が破壊されて大けがを負い、病院へ向かう救急車が空爆を受けてさらに負傷するという恐怖を想像してみてほしい。病院が何百体もの遺体を埋葬できないことも、恐ろしい状況と感染症の急速な拡散に拍車をかけている。

仮にハマスが病院の中に司令部を設置したとしても、その施設を攻撃することは紛れもなく戦争犯罪である。イスラエルは、国際法が適用されないかのように行動しているが、それは、西側諸国が長年にわたってイスラエルの行為を黙認し、甘やかしてきたからだ。ハマスがパレスチナ国家を代表しているわけではなく、この事態を引き起こした責任はハマスにもある。しかし、世界の指導者たちもまた、何十年もの間、イスラエルに絶対的な免罪符を与えてきたことによって引き起こされたこの凄惨な結果に責任がある。

驚くべき自滅行為として、英国のスエラ・ブレイバーマン内相はロンドンの休戦記念日に行われた親パレスチナデモを「ヘイトマーチ」と非難し、禁止するよう警察に圧力をかけたが、失敗に終わった。ブレイバーマン氏による無料宣伝のおかげで、何十万人もの人々が英国史上最大規模のデモ行進に平和的に参加した。実際のところ、イスラエルで無差別に殺害された人々とともに、ガザですでに殺害された4500人の子どもたちや何千人もの罪のない民間人のためのメモリアルデーを、私たちは生きている間に目にすることができるのだろうか?歴史が同じことを繰り返さないために、私たちは人類すべての命の神聖さを強調し、記念すべきである。

スペイン、フランス、ドイツ、米国などでも大規模なデモ行進が行われており、イスラエルがその最も親しい同盟国の間で急速に同情を失っていることが示されている。欧米の世論の流動性に、私は驚かされている。10月7日の直後は、親パレスチナの感情を表明する者はテロ同調者として糾弾された。しかし今、感情的にも道徳的にも麻痺した自己中心的な政治家を除けば、ガザの目を覆うような惨状に心を動かされない人がいるだろうか?多くの西側メディアは視聴者を失うことを恐れ、イスラエルに対する盲目的な支持から、よりニュートラルな表現へ変化しているが、一部のメディアは、パレスチナ人の人間性を完全に否定するような論説を続けている。

犠牲者がイスラエル人であれパレスチナ人であれ、この容赦ない非人道的な殺戮に、私たちは人類としての人道的共感を呼び覚まさなければならない。それは、この残虐行為を終わらせ、持続的かつ公正な平和を実現するための原動力となる。

バリア・アラマディン

これらの出来事は、世界中で反ユダヤ主義やイスラム恐怖症の憎悪の種を解き放ち、極右勢力はユダヤ人やイスラム教徒コミュニティに対するジェノサイド的な措置の可能性を示唆する事態に陥っている。イスラエル国内でも、人質の家族を含む数千人のデモ参加者が、イスラエルの空爆によって多くの人質が犠牲になる前に、暴力の停止と約240人の人質を解放するための交渉を要求している。

イスラエルの観測筋は、ガザのパレスチナ市民に対する集団的復讐という明白な目的があるにもかかわらず、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が掲げる戦争目標は、一時的に自身の政治的保身を図るという点を除けば、非現実的で自滅的なものに見えると懸念している。イスラエル軍は、爆撃によって建物の3分の1以上が損壊したガザ市郊外を慎重に、様子を伺いながら包囲しているが、がれきが散乱する市街地には未だ大々的な侵攻を行っていない。イスラエルが本気でハマスの「壊滅」を実行に移すつもりなら、戦争はまだほとんど始まっていないことになる。実際、レバノン国境やヨルダン川西岸地区での挑発行為が本格的な紛争の引き金となれば、紛争は限りなく悪化する可能性がある。

ヒズボラのハッサン・ナスララ書記長がその最新の演説で「勝利」の美辞麗句を並べ立てても、ガザとイスラエル双方の状況に勝利の姿はない。イランのイブラヒム・ライシ大統領も、「イスラエルに抵抗する以外に道はない」と、同様にエスカレートした言葉で発言した。しかし、イランとその代理勢力たちの行動がパレスチナ人にとってどのように役立つかは明らかではない。

一方、リヤドで開催されたアラブ・イスラム首脳会議は、この戦争を「植民地占領政府による戦争犯罪、野蛮で残忍な非人道的虐殺」という異例の強い言葉で非難し、同時にガザ包囲網の終結を求めた。首脳会議で発せられた具体的な提案の中には、パレスチナ人に対する侵害を記録し、公表するためのメディア監視ユニットの設置や、イスラエルの法的責任を追及するための多くの国際的イニシアティブがあった。

国際刑事裁判所のカリム・カーン主任検察官が主張したように、私たちはこのレベルの苦悩や「非人間性のパンデミック」に鈍感になることを許してはならない。がれきの中から引きずり出された人々は私たちと同じ人間であり、等しく正義に値することを忘れてはならない。

数十年にわたるジャーナリストとしての経験から、私は政治家たちが正しいことを言っているときでさえ、非常に懐疑的になっている。目の前で何千人もの人々が無意味に殺戮されるような世界を受動的に受け入れることは、地球市民として許されることではない。

犠牲者がイスラエル人であれパレスチナ人であれ、この容赦ない非人道的な殺戮に、私たちは人類としての人道的共感を呼び覚まさなければならない。それは、この残虐行為を終わらせ、持続的かつ公正な平和を実現するための原動力となる。その不可欠な要素は、パレスチナの土地の不法占拠をきっぱりと終わらせ、双方の正当な権利を尊重する解決策を模索することである。

・バリア・アラマディン氏は、中東と英国を拠点とする、受賞歴のあるジャーナリスト兼放送作家である。彼女はメディア・サービス・シンジケートの編集者であり、多くの国家元首にインタビューしている。

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