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サウジアラビアが過激主義のイデオロギーの本性を暴き、テロリズムに打ち勝ってきた道のり

2010年6月9日、内務省直属のサウジアラビア特別部隊がリヤドの北100kmのところにあるアルハイセイヤー(al-Haytheiyah)で訓練中、爆発した車両と火の玉が見えた。(ファイル/AFP)
2010年6月9日、内務省直属のサウジアラビア特別部隊がリヤドの北100kmのところにあるアルハイセイヤー(al-Haytheiyah)で訓練中、爆発した車両と火の玉が見えた。(ファイル/AFP)
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07 Sep 2021 11:09:52 GMT9
07 Sep 2021 11:09:52 GMT9
  • 度重なるテロ攻撃に直面し、サウジアラビアは軍事・イデオロギー両面から過激派たちを駆逐する攻勢に出た
  • サウジアラビアの反テロ対策が明確なメッセージを発信:イスラム教はテロと無関係であり、テロは宗教を持たない

ムハンマド・アル=スラミ 

ジェッダ:「この先30年、過激派のイデオロギーに煩わされながら生きていくようなことはしない。今すぐ直ちに彼らを滅ぼす」サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王子は2017年10月にリヤドで行われた投資会議で、この多大な影響力を持つコミットメントを行っている。

この発言は単なるメディア受けを狙うものではなかった。それは、過去数十年間世界へ、特にサウジアラビアへ脅威を与え続けている過激派イデオロギーに対処するための新たな方針を打ち立てた。

2010年6月9日、リヤドの北100kmのところにあるアルハイセイヤー(al-Haytheiyah)で内務省直属のサウジアラビア特別部隊が訓練を行っている。(ファイル/ AFP)

米国は9/11同時多発テロ事件から20年目を迎えようとしているが、そのタイミングは、テロやイスラム過激派のイデオロギーと闘うサウジアラビアの功績をあらためて思い返す良い機会でもある。サウジアラビアの元駐米大使で諜報庁長官を務めるトゥルキ・アル=ファイサル王子も、2016年にワシントンDCにおけるパネルディス カッションで、「サウジアラビアは米国と同じくらい、しかも同じテロリスト集団によるテロの被害者となっている」と発言している通りだ。

最初のテロ攻撃は、いわゆるジュハイマーン事件で、1979年のメッカ大モスク占拠だった。ジュハイマーン・アル=ウオタイビー率いる数百人の武装集団がイスラム教徒にとっての最も神聖なるモスクを占拠し、何百人という罪なき巡礼者らを人質としてモスクを戦場に変え、最終的には奇襲部隊によって鎮圧された。この2週間に及ぶ占拠事件で250人以上が死亡、560人が負傷した。

ファイサル国王研究センター(King Faisal Centre for Research and Islamic Studies)取締役会の会長を務めるトゥルキ・アル=ファイサル王子がバーレーンにおける第9回国際戦略研究所地域安保サミットに出席する。(ファイル/AFP)

1987年には、テヘラン政権の革命イデオロギーを唱えるイラン人巡礼者らがハッジ巡礼中にメッカで治安部隊と衝突し、400人以上の死者を出した。これによってサウジアラビア指導者らの急進主義撲滅とテロ攻撃や過激派イデオロギーからの国防に対するコミットメントが深まっていった。

次は、サウジアラビアの首都が直接テロ攻撃を経験することとなった。1995年11月に、サウジアラビア国家警備隊所属の居住建物の前で大規模な自動車爆弾の爆破事件が起きた。5人の米国人と2人のインド人がこの攻撃で死亡し、様々な国籍の人々数十人が負傷した。

サウジアラビアのニュースチャンネルのアルエクバリヤから2006年6月23日に入手したこの画像には、2006年6月23日夜中にサウジアラビア治安部隊とアルカイダのメンバーの間における銃撃戦の様子が写る。(ファイル/AFP)

アフガニスタンのアルカイダ指導者らのスピーチとサウジアラビアのサーワ運動の思想に刺激された若者4名によって、爆弾事件が決行された。

サーワとは「悟りを開く」運動を意味し、ムスリム同胞団に影響を受けた過激派聖職者たちによって先導されていた。首都におけるテロ事件から1年も経たない1996年5月に、爆破テロの犯人らが処刑された。しかし、他のテロリストたちの支部が盛んに陰謀を企てていた。1996年6月25日、東部州アル・ホバルの街が大規模爆破事件に見舞われた。

テロリストらはホバルタワーを標的とした。ここは8階建てのビルで、米国の飛行士や兵士が居住していた。この攻撃で米国空軍の19人のメンバーとサウジアラビア市民が死亡し、様々な国籍の住人498人が負傷した。

サウジアラビアの反テロ対策が明確なメッセージを発信:イスラム教はテロとは無関係であり、テロは宗教を持たない。(ファイル/AFP)

後に、この事件の犯人らはイランのイスラム革命防衛隊とつながりがあることがわかった。犯人の一人、アフマド・アル=ムガシルは爆破事件後にイラン経由でレバノンへ逃亡していた。サウジ当局は2015年8月にベイルートで彼を逮捕したと報道されている。

1996年以降は、7年が過ぎた後の2003年5月12日に、オサマ・ビンラディン率いるテロリスト集団アルカイダが、サウジアラビアに対して一連のテロ作戦を仕掛け始めた。これらのうち最も顕著な事件は、4代の自動車爆弾によるリヤドの3つの居住施設ドラ・アル=ヤダウェル、アル=ハムラ・オアシス・ビレッジ、ヴィネル・コーポレーションの爆破事件だった。この組織的犯行で39人が死亡した。

7ヶ月後の2003年11月には、やはりアルカイダに刺激された過激派がリヤド近郊のアル=ムハヤで爆破事件を起こし、17人が死亡、122人が負傷している。2004年4月21日には、国内反テロ対策の本部となっているリヤドのゼネラル・セキュリティのビルが自動車爆弾の自爆テロで爆破され、10人以上の人々が死亡した。

2018年、国家安全保障庁が、サウジアラビアでは過去21年でテロリストによる企てが863件実行されていると述べた。(他社供給)

これらすべてのテロ被害は甚大なものとなっている。2018年、国家安全保障庁は過去21年でサウジアラビアではテロリストによる企てが863件実行されており、未遂も含めると1,096件にのぼると発表している。被害者の総数は3,007人、そのうち治安担当者が333人命を落とし、テロリストが695人死亡、346人が負傷している。

国家安全保障庁は押収した銃砲と爆発物についても以下のような統計を出している:様々な種類の銃砲4,529 点、自家製爆発物450点、SAM-7地対空ミサイル3機、対戦車擲弾374点、爆弾ベルト241点、軍隊グレードの爆発物47トン。

激しい戦争にも匹敵するこうした経緯によって、ムハンマド・ビン・サルマン王子は過激主義・テロ、そしてその関連イデオロギーに対するキャンペーンを推し進める決意をした。その後、サウジアラビアは一連の手順を踏みながら、国内のテロ活動を駆逐し、世界の過激派イデオロギーを暴き出しながら闘ってきた。

2015年12月15日にサウジアラビアは、過激派思想に立ち向かう連合組織として、対テロ・イスラム軍事連合(Islamic Military Counter Terrorism Coalition/IMCTC)の設立を発表した。その声明によると、このイニシアチブは派閥や名前のいかんにかかわらず、あらゆる形態のテロに対抗することを目的としている。

度重なるテロ攻撃に直面し、サウジアラビアは軍事・イデオロギー両面から過激派たちを駆逐する攻勢に出た。(ファイル/AFP)

IMCTCはイスラム教国41カ国で構成され、合同プランニングと意思決定プロセスを行う。連合はリヤドに合同作戦本部を置き、過激派イデオロギーの撲滅に努め、テロのプランニング及び実行に立ち向かう努力を調整・統合する。

サウジアラビアはIMCTC の設立を中断しているわけではない。2017年4月30日、ムハンマド・ビン・サルマン王子は、防衛庁直属の組織としてイデオロギー・戦争センターを設立し、自ら所長に就任している。このセンターは、本物の宗教の概念を強固なものにしながら、過激派やテロの根絶やしにあたることを任務としている

安保及びテロ問題のアナリストかつ研究者であるサウド・アル=オタイビ氏によると、IMCTC の設立によってサウジアラビアは世界に対し、イスラム教はテロと無関係であり、テロは宗教を持たないという明確なメッセージを発信したという。

アル=オタイビ氏は、サウジアラビアの働きかけはIMCTC にとどまらないと言う。2017年5月、過激主義対策グローバルセンター、エティダル(Etidal)が、サルマン国王と、リヤドでアラブ・イスラム・米国サミットに列席していた当時のドナルド・トランプ米大統領および他のリーダーらによって設立された。

サウジアラビアの軍の職員らが、サウジアラビアのダーラン近郊にあるキング・アブドル・アジーズ空軍基地のホバルタワー北方フェンス外側で燃料輸送トラックが爆発してできたクレーターを覗き込む。(DoD写真)

エティダルは1億1千万ドルの資金援助を受けている。法務顧問アブドル・アジーズ・アル=ハーティ(Abdul Aziz Al-Harthy)氏は、イデオロギーを対象とする法律の制定がサウジアラビアの対テロ戦争のもう一本の柱だ、とアラブニュースに述べている。

新たな法律によって資金の流れの監視が義務付けられ、サルマン国王人道援助救済センター(KSrelief)を経由するすべての寄付金の経路を制限している。これによって団体組織を分類し、テロ支援者を識別することによってテロのための資金援助の流れを阻止することができる。

アル=ハーティ氏は、2021年4月にテレビ放映された会議を取り上げ、その中でサルマン王子が次のように述べている:「たとえテロリストでなくとも、過激派と同様の行動をとる者はすべて犯罪者として法によって裁かれることになる」

アル=ハーティ氏はこう語る:「対テロ対策におけるサウジアラビアの決意の堅さを表す最も重要な点は、テロリストの起訴と、イスラム教徒およびその国家に対して犯した罪を二度と繰り返せないような処罰を与えることだ」

ツイッター:@md_sulami

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