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歴史的な日米韓同盟が実現

記者会見で発言するジョー・バイデン米大統領、岸田文雄首相、尹錫悦韓国大統領。(AFP)
記者会見で発言するジョー・バイデン米大統領、岸田文雄首相、尹錫悦韓国大統領。(AFP)
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21 Aug 2023 02:08:45 GMT9
21 Aug 2023 02:08:45 GMT9

8月18日金曜日にキャンプ・デービッドで開催された「歴史的」な日米韓3カ国首脳会談は、ジョー・バイデン大統領が中国を包囲するため、インド太平洋に多国間同盟の網を張り巡らせようとしていながら、同時にそれが中国に向けたものではないと語っていることから、同大統領にとって最高の功績と評価されている。

戦争と占領が生んだ緊張と怒りという歴史的な問題を抱えながらも、日本と韓国を結びつけ、パートナーにしたことは、バイデン大統領にとって大きな成功だと思われる。同大統領の発言によれば、これは三国間の協力の「新時代」を切り開くものである。米国のアジア太平洋への戦略の方向転換が一つの節目を要するとすれば、これはまさにその最も貴重な部分である。

しかし、これだけではない。『ポリティコ』誌は3カ国首脳会談の後、バイデンが来月、「この地域で中国に対抗する新たな試みとして、中国の南の隣国であるベトナムと戦略的パートナーシップ協定に調印する」と報じた。バイデン大統領は9月中旬にベトナムを訪問する予定であることが報じられている。また、同大統領は来月のG20サミットでインドを訪れる。

この新たな三国同盟は、米国がインド太平洋地域に構築した2つの同盟である、オーストラリア、英国、日本との「AUKUS」と、インド、オーストラリア、日本との四極安全保障対話(通称「Quad」)に続くものである。これらに加えて、14カ国が参加する「繁栄のためのインド太平洋経済枠組み」(IPEF)がある。

中国にすれば、これは戦略面では悪夢に違いないだろう。中国にとって最大の貿易相手国である日本と韓国という大国が米国と三国同盟を結ぶことは、中国にとって大きな懸念材料となる。

ホワイトハウスは、この新たな同盟が中国に対抗するものであることを徹底的に否定した。ジェイク・サリバン米国国家安全保障担当大統領補佐官は、この「今日のサミット、このパートナーシップは誰かに対するものでもなく、大切なことに対するものだ」と強調したが、これは決して目新しいことではない。しかし、「目新しいのは、我々が今、地域の安定と安全保障を強化するために、そのすべての仕事をまとめていることです」とサリバン氏は語った。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、中国の新聞は今回のサミットを、アジアにNATOのような存在を作り出そうとする取り組みであると評している。サリバン氏はそれを否定し、「太平洋のためのNATOではないことは明白です。我々はそのように言ってきました。我々はそのことを今後も明確に示していきますし、日本も韓国もそうするでしょう」。別のアメリカ政府高官は、このサミットと三国同盟は中国に対抗するものではないと繰り返した。

しかし、ラーム・エマニュエル駐日米国大使はもっと率直だった。この地域における米国のメッセージは次のようなものだ、と語った。「我々は恒久的な太平洋の大国であり、恒久的な国です、そしてあなた方は米国に十分に信頼を寄せることができるでしょう」。今回のサミットの発表にはなかったが、中国はバイデン政権の発足当初からの優先事項であった。

実際、「中国を打ち負かす」ことは、米国の最新の国家安全保障戦略において最も重要な要素であり、同戦略では中国を「国際秩序を再構築する意図を持ち、そのための経済力、外交力、軍事力、技術力を有する唯一の競争相手」と位置づけている。この戦略では、米国が中国の野心とみなす、この地域における影響力の拡大が打ち出された。中国はこの地域において「軍事への投資と近代化」を進めており、「インド太平洋地域でますます能力を高め、世界的な強さと影響力を増しており、その一方で、この地域および世界各地における米国の同盟関係を侵食しようとしている」。

日本と韓国を結びつけ、両国をパートナーにしたことはバイデン大統領にとって大きな成功であった。

アマル・ムダラリ博士

日中韓三国同盟サミットでは、多くの声明、ファクトシート、「協議へのコミットメント」、そしてこの「日中韓の三国間パートナーシップの新時代」の目標および目的をまとめた「キャンプ・デービッド原則」が打ち出された。「キャンプ・デービッド原則」では、「自由で開かれたインド太平洋」への首脳間のコミットメントを確認し、武力や強制によって現状を変えようとするいかなる一方的な試みにも反対することが表明された。

この地域の他の同盟国の懸念を和らげるため、声明では、この新たな同盟がグループとして結束している地域協力のメカニズムに代わるものではないことが確認された。日中韓三国の安全保障協力の目的は、「地域全体の平和と安定を推進し、強化することであり、また今後もそうであり続ける。この地域に対する我々のコミットメントには、ASEAN(東南アジア諸国連合)の重要性と結束、そしてASEAN主導の地域枠組みに対する揺るぎない支持も含まれている」と声明には記されている。

3首脳はまた、「国連安全保障理事会の関連決議に従い、朝鮮民主主義人民共和国の完全な非核化に尽力するという我々のコミットメントにおける結束」を表明し、北朝鮮に向けたメッセージを送った。しかし同時に、3首脳は「前提条件なく、北朝鮮との対話にコミットし続ける」とも表明した。

また、3首脳は「台湾海峡の平和と安定が国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である」ことも再確認した。

協議に関するコミットメント文書の中で、3カ国は、「我々の集団的利益と安全保障に影響を及ぼす地域的課題、挑発行為、脅威への対応を連携するため、迅速な方法で三者協議を行う」ことを約束した。3首脳はこの協議を通じて、「情報を共有し、メッセージを統一し、対応行動を連携する」ことを約束した。また、3首脳は「自国の安全保障上の利益と主権を守るため、あらゆる適切な行動をとる自由を保持する」ことも約束した。

彼らは、安全保障協力から技術、経済・金融の安定、気候変動、サプライチェーンに至るまで、幅広い問題について協力することを約束した。しかし、3首脳が誰に対して同盟を組んでいるのかについては一言も触れていない。

バイデン大統領が語ったように、米国大統領と米国政権はこれを「何十年にもわたって」の同盟として提示することを強く望んでおり、これを「制度化」し、いかなる選挙や米国大統領の任期、あるいは日韓の指導者の交代よりも長く存続させるために、多くの手段を講じた。サリバン氏は、3首脳が「前進させる追い風を背後から受け、軌道から逸らすのが非常に困難な」体制を構築するよう徹底した、と語った。

韓国の世論は日本との緊密な関係や三国同盟に対して非常に批判的で、米国のメディアによれば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を批判するデモが毎週のように行われているという。日中韓のいずれかの国の政治的変化による影響に備えるため、両首脳は「首脳、外相、国防相、国家安全保障顧問による日中韓三国会談を少なくとも年1回開催」し、「初の日中韓財務相会合を開催するとともに、新たな商務・産業相会合を年1回開催する」ことを表明した。また、3首脳は「インド太平洋に対するアプローチの実施を連携し、共通の行動のための新たな分野を継続的に特定するため、日中韓インド太平洋対話を毎年立ち上げる」予定である。

日中韓三国同盟の今後のアジェンダは素晴らしいものだが、重要なのはその実現である。ホワイトハウスのインド太平洋調整官、カート・キャンベル氏は、ブルッキングス研究所で行った講演で、この三国同盟が「超党派的な方法で私たちの国家精神に組み込まれる」ことを望むと語った。現在の米国国内の政治情勢は、多くの問題で超党派の強力な支持を得るには不向きだが、中国は事情が異なり、ホワイトハウスは必要としている支持が得られるかもしれない。真の試練は、この三国同盟が、制度的に強固な基盤を確立しているこの三国の政局を乗り越えられるかどうかである。時が経てば自ずと答えが分かるだろう。

  • アマル・ムダラリ博士は、米国の政策、国際関係のアナリスト。
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