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米司令官:イランとイスラエルのミサイル攻撃により米兵が危機に晒されている

米中央軍司令官、フランク・マッケンジー米海兵隊大将。(ロイター ファイル写真)
米中央軍司令官、フランク・マッケンジー米海兵隊大将。(ロイター ファイル写真)
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20 Mar 2022 12:03:34 GMT9
20 Mar 2022 12:03:34 GMT9
  • イラクにおける米国の存在はイラン政府との長年の火種となってきたが、2020年1月にバグダッド国際空港にてイランの最高司令官が米国のドローン攻撃で殺害されて以来、その緊張は大きく高まった

ワシントン:イラク北部の米国領事館施設付近にイランがミサイルの集中砲火を行ってから数日が経ち、米国の中東地域最高司令官はイラクおよびシリアにおけるイランとイスラエルのミサイル攻撃の応酬によって米兵が危機に晒されていると発言した。

米海兵隊のフランク・マッケンジー大将は米国防総省の報道陣に対し、イランはこの半年間で米国の軍および施設に対し数多くの攻撃を仕掛けてきたが、「現場の司令官らの非常に優れた対応により」米国は犠牲者を出さずに済んできたと述べた。

「米国に犠牲者が出ていたら、我々の立場は今とは全く異なっていたでしょう」。マッケンジー司令官はそう述べた。
マッケンジー司令官および米国の政府関係者らは今週、13日の大使館付近へのミサイル攻撃は米国を狙ったものではなかったと述べた。また、イランの強力なイスラム革命防衛隊はウェブサイトにて、この攻撃はエルビルにあるイスラエルの諜報施設を標的としたものだったと発表した。

今回の攻撃は、ダマスカス近郊で起きたイスラエルの攻撃によってイスラム革命防衛隊の隊員2名が殺害されたことを受け、イラン側が報復を行うと発表してから数日後に発生した。

「イラン側の動きがあれば、イスラエルが何らかの自衛策を講じるのは当然のことだと思います。そしてもちろん、イランはイスラエルの破壊に力を注いでいます」。マッケンジー司令官はそう述べた。

イラン側の動きがあれば、イスラエルが何らかの自衛策を講じるのは当然のことだと思います。

米国中東地域最高司令官、フランク・マッケンジー海兵隊大将。

「我が軍はこれまで何度も危機に晒されており、イラクあるいはシリアにおけるイランとイスラエルによる攻撃の応酬に懸念を抱いています。そのことははっきりと私にとっての懸念材料です」

米中央軍で約3年に渡ってトップを務めてきたマッケンジー司令官は退役を控えており、今回が最後の記者会見になると見られる。引き継ぎの準備を進めるマッケンジー司令官は、後任となるエリック・クリラ陸軍中将に対し、今後もイランが最大の課題であり続けるだろうとメッセージを送った。

「3年に渡って司令官を務めてきた中で、私の中心課題はイランでした」。混乱を引き起こしたアフガニスタンからの撤退、奇襲攻撃によるダーイシュ指導者らの殺害も監督してきたマッケンジー司令官はそう語った。

「他にも大きな問題はありましたが、司令部全体としてはイランおよびそれに伴う問題に集中してきました」

イラクにおける米国の存在はイラン政府との長年の火種となってきたが、2020年1月にバグダッド国際空港にてイランの最高司令官が米国のドローン攻撃で殺害されて以来、その緊張は大きく高まった。その報復としてイランは米軍が駐留するアル・アサド空軍基地にミサイルの集中砲火を行った。このミサイル攻撃の爆発により、100名以上の米兵が外傷性脳損傷を負った。

さらに最近では、昨年後半に起きたイラクのムスタファ・アル・カディミ首相暗殺未遂事件に親イラン勢力が関与したと見られている。また、昨年10月に起きたシリアの米軍前哨基地に対するドローン攻撃はイランによるものだと政府関係者らは見解を述べている。この攻撃で米国関係者に死傷者は出ていない。

昨年、イラクの駐留米軍は非戦闘任務へとその役割を変更したが、イランおよび親イラン勢力は同国からの米軍の完全撤退を望んでいる。

イランの指導者層は米国に対して一定程度の攻撃を行っても現在進行中のイランの核交渉に影響はないと考えていると、マッケンジー司令官は話す。

外交官らが再建を試みている2015年のイラン核合意は、合意が間近に迫っていると見られている。これが実現すれば米国は合意に復帰し、イランは再び核計画に関する制限を遵守する必要が出てくる。

今週、イラン核合意反対派の議員からマッケンジー司令官に対し、合意によってイランの武力攻撃にどのような影響があるのか、制裁解除は核以外のイランの悪意ある行動に資金をもたらすだけではないのかなど様々な質問が飛んだ。

マッケンジー司令官は、米国はイランのドローンによる潜在的な攻撃への対策や、その他防衛面で改善を図っており、それが米国関係者に死傷者が出ていない要因になっていると述べた。だがマッケンジー司令官および関係者らは、イランの弾道ミサイル攻撃の精度が高まっていることを指摘している。

「イランに核兵器を持たせたくはありません。それを実現するための最善の手段はおそらく交渉でしょう」。マッケンジー司令官はそう述べると共に、そのような交渉が同地域におけるイランの通常攻撃をはじめ、その他の問題の解決に繋がることはないだろうと付け加えた。

「米国政府の中にそれが分かっていない人はいないと思いますが、核兵器を考慮しなくて済む、その心配をする必要がなくなるというのは大きなことです」

この核合意を実現させた後、米国はイランによる弾道ミサイルやドローンによる脅威の高まりを含めたその他の問題に着手することができるとマッケンジー司令官は言う。

「交渉は望ましいことですが、その交渉となれば米中央軍の出番です。イランに対して抑止力というコンセプトを示して見せること、彼らが追い求めているものを実現させるにはあまりにも大きな痛みを伴うのだということを示すのが我々の仕事です。我々は日々そうした仕事に取り組んでいます」

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