
サウジアラムコが8月の公式販売価格を発表する少し前に、ウォールストリートジャーナル紙は「サウジがOPEC同胞との新たな石油価格戦争を脅す」という見出記事を掲載した。
ナイジェリアとアンゴラが、OPEC +生産者間で以前に合意された生産削減を遵守しないため、王国がまた「価格戦争」に火をつけると脅したと主張。
しかし、合意の執行を価格戦争の脅威と混同するべきではない。同じような論調は、価格が歴史的な安値に急落後の4月に、石油市場の動向を報じるメディアの間で気ままに使われていた。その当時の石油価格の下落は、何よりもまず、新型コロナウィルス感染症のパンデミックで、世界中の主要都市で行われた都市封鎖による石油需要の大幅な低下によって引き起こされたものだった。
4月にアラムコが発表した公式販売価格の低下は、OPECプラスグループに属する石油輸出国が、市場のバランスを取り戻すために供給を削減することに合意する前の、前例のない弱い需要を反映したものだった。
サウジアラビアは、これまでで最大の石油ショックを封じ込めるために、史上最大の産出削減をリードし、多くを達成した。
ファイサル・フェイク
最近の価格戦争の雑音は、輸出国間の調和が高まっている時期と重なっているため、いくぶん皮肉にも思われる。 「価格戦争」という好戦的な言葉が独り歩きするのは誤解を招き、世界経済の安全保障が大きく依存する原油価格の変動を抑制するという、OPECプラスの傘の下、サウジアラビアと他の生産国が共々築いた共同歩調の進展から逸れている。
確かに王国は、これまでで最大の石油ショックを封じ込めるために、史上最大の産出削減をリードし、多くを達成した。
20を超える石油生産国の減産遵守を確保することは、すべての国が非常に異なる状況に置かれ、非常に異なる意図を持っていることを考慮すれば、外交の勝利であり、武力の威嚇によるものでは決して無い。
同様に、競争力を維持することは、経済戦争を意味するのではなく、あくまで健全なビジネスの一環に過ぎない。
サウジのエネルギー相は現況を次のように述べている:
「価格戦争とは、特定の市場で他の生産国が販売しようとする試みを抑え込むために、価格を大幅に下げて対抗することである。現状はそれに当てはまらない。人々は我々が価格設定をするのを待ち、我々が提示した価格から自らの価格設定を評価している」