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アッ=トゥワイジュリー氏は次期WTO事務局長に最適である

30 Jul 2020
WTO事務局長選出過程の一部となる164加盟国代表を前にした演説を終え、ジュネーブで記者会見に出席するサウジのムハンマド・アッ=トゥワイジュリー前経済相。2020年7月17日。(AFP)
WTO事務局長選出過程の一部となる164加盟国代表を前にした演説を終え、ジュネーブで記者会見に出席するサウジのムハンマド・アッ=トゥワイジュリー前経済相。2020年7月17日。(AFP)
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世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド事務局長が任期を1年残して退任することを5月に表明したとき、世界でもっとも重要な職の1つをめぐって競争が始まった。7月8日、サウジアラビアはムハンマド・アッ=トゥワイジュリー氏を正式な候補者に指名した。全部で8人の候補者には、英国のリアム・フォックス氏、ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏など著名な政治家が含まれている。

アッ=トゥワイジュリー氏は、政府での要職と民間での本格的な職務経験を兼ね備えた唯一の候補者であり、この地位にもっともふさわしい。現在、彼は、内外の経済戦略について助言する王宮府顧問の職についている。彼は、2016年から3月まで経済計画相を務め、国連の持続可能な開発目標(SDGs)をVision 2030に融合させるのに貢献した。彼はVision 2030の強力な支持者である。アッ=トゥワイジュリー氏は、業績管理と評価を重要視している。WTOとともに国際通貨基金と世界銀行も、彼の大臣としての管轄内にあった。

アッ=トゥワイジュリー氏を他の候補者から際立たせているのは、彼が長期間にわたり民間で豊富な職務経験を積んでいることである。

コーネリア・メイヤー

元戦闘機操縦士のアッ=トゥワイジュリー氏は、キング・サウード大学で経営学修士(MBA)資格を取得した。国際金融業界で経験を積み、最終的にはHSBC銀行で副頭取と中東・北アフリカ・トルコにおけるCEOを兼任した。国際的な銀行において広大かつ重要な地域の責任者であったことは、彼の優秀さを示している。主要金融機関は実力社会であり、このような地位はもっとも有能な人物にしか与えられない。

彼については、このぐらいにして、今度はこの組織に着目しよう。WTOは、123カ国が調印したマラケシュ協定にもとづいて1995年1月1日に設立された。1948年の関税及び貿易に関する一般協定(GATT)に代わるものとして成立したWTOは、貿易に関連する問題を監視し、貿易交渉の枠組みを与える。3つ目の機能は、紛争処理機能であり、この重要性については過小評価することはできない。

WTOのドーハ・ラウンドは、発展途上国を含んだより包括的なグローバリゼーションをめざすものであるが、まだ終結していない。農業補助金や非関税障壁の問題が、大きな難点となっている。

2001年の中国の加盟は、WTOにとって大きな出来事だった。WTOの一員となったことは、その後の中国の経済成長の基盤となり、中国にとっても重要であったことが証明された。サウジアラビアはWTOに2005年に加盟した。

公正かつうまく機能する貿易システムは、世界経済にとってだけではなく、17のSDGsの達成と持続可能で公平な成長のためにも、きわめて重要である。過去数十年間に、何億もの人々を貧困から救い出したのは、結局のところ、貿易であった。

米国と中国が貿易をめぐり対立を始めるかなり前から、保護貿易主義の暗雲は立ち込めてはいたが、この風潮は過去3年で確かに強くなった。特に問題なのは、もし退任する委員の後継が決められないことがあれば、貿易紛争処理の仕組みが行き詰ってしまうことである。

WTOがきちんと機能することは、現在、今までになく重要であるといえるだろう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、グローバル経済に第二次世界大戦以来、おそらく、世界恐慌以来の最大の危機をもたらした。国境が封鎖され、サプライチェーンが混乱し、工場が閉鎖されるなか、国際貿易は大きな痛手を受けた。WTOは、パンデミックのせいで今年の第2四半期の世界の貿易は18パーセント減少したと見積もっている。

国際貿易をめぐる協議を再び盛んにするためには、WTOは、明確な管理体制と組み直しを必要としている。7月17日付のアッ=トゥワイジュリー氏のWTO一般理事会での所信表明は、明確で達成可能なロードマップを示している。これは、現状維持を超え、21世紀にふさわしいシステムをつくりだすことに目を向けている。

技術の発達は私たちの暮らし方、生計の立て方や貿易の仕方を変えた。パンデミックはむしろこの変化を加速させた。サウジアラビア政府とその経済計画省は、第4次産業革命、すなわち情報技術、ロボット工学、人工知能などの分野における革新の重要性を理解している。昨年のFuture Investment Initiativeに出席した人なら、これに疑いをもつまい。経済の大規模な変化とパンデミックの後遺症の組み合わせは、破滅的な状況をもたらしうるが、あるいは、重要な機会にもなりえる。だからこそ、政府と民間、両方での経験をもつ人物がWTOの指揮をとることが重要なのである。政府と民間、両方の言葉を話せる者だけが、必要な変化をもたらすことができる。

米中の貿易摩擦は、日ごとに激しくなっているようだ。この2国は、世界の二大経済であり、事務局長が両政府と交渉することができなければ、貿易にかかわるいかなる国際機関も機能しない。サウジアラビアは、米国政府とも中国政府とも、良好な関係を維持しており、これはとても重要なことである。サウジアラビアは、G20のメンバーでもあり、このことは、小規模な中立国に対する影響力をさらに強める。その所信表明の中で、アッ=トゥワイジュリー氏は、新しい事務局長が中立であり続けることの必要性を強調している。

WTOは、各種の問題、特にドーハ・ラウンドに付随する問題をかかえており、何をなすべきかを判断する新しい視線が必要とされている。その新しい指揮官には、経験、ビジョン、外交的な臨機応変さ、すぐれた経営手腕が必要だ。アッ=トゥワイジュリー氏の履歴は、彼はこの4つの資質の全てを兼ね備えていることを示している。

  • コーネリア・メイヤーは、投資銀行界で30年の経験をもつ博士レベルの経済学者である。彼女はビジネスコンサルタント会社Meyer Resourcesの社長、CEOである。ツイッター:@MeyerResources
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