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エルドアン 大統領の綱渡り政策、バイデン政権時代に新たな試練に直面する

しかし、トランプが退陣間近であり、バイデンが、エルドアンが NATO 同盟国として信頼できないことにあまり寛容でないことを考慮すると、トルコ大統領は、プーチンもこれまでほど融通が利くわけではないことに気づくかもしれない。(AP 通信)
しかし、トランプが退陣間近であり、バイデンが、エルドアンが NATO 同盟国として信頼できないことにあまり寛容でないことを考慮すると、トルコ大統領は、プーチンもこれまでほど融通が利くわけではないことに気づくかもしれない。(AP 通信)
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17 Dec 2020 09:12:29 GMT9
17 Dec 2020 09:12:29 GMT9

アメリカは月曜日、アンカラがロシアの S-400 ミサイル防衛システムを購入したため、対敵対者制裁措置法に基づき、トルコに制裁措置を課すと発表した。この制裁措置によって、トルコはアメリカの防衛製品や技術利用を拒否されることとなり、さらに、軍事産業の会長職にある四人の高官の資産凍結とビザの制限が課される。アメリカの公式声明によれば、ロシアのミサイルシステムの導入は「アメリカの技術と国民の安全保障を脅かすものだ」、と表明された。次期バイデン政権は、制裁措置を維持するものと思われる。同政権は S-400  の購入や、トルコが導入することによって引き起こされた、NATO 内の不協和音にも反対してきたからだ。

EU もまた、不特定数のトルコ政府関係者や団体に制裁措置を課すことを数日前に発表した。これらの制裁措置は、トルコがギリシャとキプロスと論争している、東地中海ガス探査に関連があった。アテネは、「ベルリン – ローマ – マドリード 包囲網」は、トルコの攻撃性に対する緩やかな対応策としていた。これにより、トルコに対する武器の輸出禁止が要求されたが、イタリア、ドイツ両国は、敵対する隣国への主要武器輸出国である。

アメリカと EU の制裁措置は、穏便なものではあるが、トルコへの投資に水を差す、つまり、すでに緊張が走っている経済に悪影響を及ぼす可能性がある。国の通貨は今年 24 パーセント下落したが、インフレ率は 12 パーセントにとどまる。第三四半期には、国内総生産は 6.7 パーセントの成長を見せたが、これは低金利、財政支出、そして債権の発行という形態の、経済と政府の景気刺激策が始まったことによる。しかし、最近のコロナウイルス感染症の急増は、高利子と相まって、第四四半期における成長を減少させることとなるだろう。その結果、来年 4 パーセントに上昇する前に、今年の成長率は総じてゼロとなるだろう。


ジョー・バイデンがアメリカ大統領選に勝利したことで、新たな問題が発生する。レジェップ・タイイップ・エルドアンは個人的に、ドナルド・トランプと親しかった。トランプが、とりわけシリアに対する、極めて重要な時期にトルコを支援したからだ。現在トルコは、国内および地域における政策について見直す必要がある。それゆえ、バイデンの関心事にも敏感で、エルドアン大統領は、新たな人権行動計画を策定しているところだ、とすでに発表している。

トルコ大統領はまた、イスラエルとの関係修復を試みているところだ。エルドアンは今週、ヘブライ語を話せる政党支持者を、キャリア外交官でないが、イスラエルへのアンカラ大使に任命した。二国間の外交関係は、2018 年 5 月に軽視され、その後ガザ地区でイスラエルの暴動が起き、米国大使館のエルサレムへの移転がトランプ大統領によって決定された。しかし、11 月からは、トルコとイスラエルの情報関係職員の間で、外交関係と両国の地域における利害を重視するための実務会談が行われている。

トルコ大統領は、アメリカかロシアのどちらかの選択を迫られるが、両国からの矛先を変えることを代わりに模索する

タルミズ・アフマド (Talmiz Ahmad)

バイデンを喜ばせることに加え、トルコはイスラエルとの和解にも気をもんでいる。地中海におけるエネルギーの利害が共通するためだ。アンカラは、ヨーロッパからトルコへと至るイスラエルのガス パイプライン計画というアイデアを復活させたいと考えている。また、ナゴルノ・カラバフ地域におけるアルメニアとの近年の摩擦においては、トルコ、イスラエル両国がアゼルバイジャンを支援して以来、コーカサス地域へ近づく調整をしたいとしている。トルコとイスラエルは、トルコがすでに防衛提供国となっているウクライナと三者協力関係を築きたいとも考える。

しかし、こうした目標は、ハマースとムスリム同胞団とトルコとの関係に、イスラエルが重大な留保を保有しているため、すんなりとは実現しないだろう。そうしているうちに、トルコの西側同盟国は我慢の限界に達してきている。退任予定のマイク・ポンペオ アメリカ国務長官は今月、「NATO の安全保障を弱体化させた」としてトルコを批判した。先月パリの記者会見では、フランス外相は、地中海におけるトルコの行為を「受け入れられない」と評し、ドイツ外相は、「承認しがたい」と話した。

こうした背景に対し、トルコとロシアの関係は将来どういったものとなるのだろうか。ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、西側の擁護からトルコを引き離すべく多額の投資を行ってきた。実質的な二者経済軍事関係を発展させ、シリアにおけるトルコの利害の調整し、そしてリビアに関する懸案にアンカラと共に取り組んだ。それが、対抗勢力を支援することとなったとしてもである。また、ロシアは、ナゴルノ・カラバフ地域における停戦の仲介を行い、ここでもまた、対抗勢力を支援することとなった。

過去の業績を考慮すると、エルドアン大統領は、アメリカとロシアのどちらかの選択を迫られることとなる。しかし、この数年にわたる外交で目立っている瀬戸際政策を繰り返し行うことで、二国からの矛先を変えることを、代わりに模索することとなるだろう。彼の切り札は、ヨーロッパとアジアにまたがり、東西のエネルギー輸送の通過点としての役割を持ち、地中海海岸の支配する位置にあること、そして海からリビアに到達可能な場所にあるという、トルコという国家の地政学的価値である。また、トルコの国内市場が、商業と軍事双方において大きく、オスマン帝国の末裔としての文明水準もある。これらの要素があるため、エルドアンは、アメリカとロシア両国は、引き続きトルコの利害と立場に敏感であり続けるだろうという自信を持っているのだ。

しかし、トランプが退任間近であり、バイデンが、エルドアンが NATO 同盟国として信頼できないことにあまり寛容でないことを考慮すると、トルコ大統領は、プーチンもこれまでほど融通が利くわけではないことに気づくかもしれない。シリアでは、アサド政権とロシアの軍隊が、イドリブ (Idlib) の過激派と戦い、国の国家統一を承認する裁量をトルコが与えるべきだと、ロシア大統領は主張するかもしれない。リビアとナゴルノ・カラバフ地域では、トルコは、両国が互いの優位となる立場を調整することを目指してモスクワと緊密に協働する必要があるだろう。プーチンにとって、ウクライナは立ち入り禁止区域である。トルコは、ロシアの利害を脅かすいかなる行動をも差し控えなければならないだろう。

エルドアンは遠からず、これまでの瀬戸際政策には厳しい制限があることに気づくことだろう。

タルミズ・アフマドは作家であり、サウジアラビア、オマーン、そしてアラブ首長国連邦における前インド大使である。彼は、インド、プネー市のシンビオシス (Symbiosis) 国際大学国際学部において、ラム・サテ・チェア (Ram Sathe Chair) を保有する。

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